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【 むくみ(浮腫) 】と漢方薬による治療

むくみ(浮腫)とは


身体の組織は心臓から送り出された動脈血から栄養素や水分を得ています。同時に組織から排出された不要な成分や水分は静脈やリンパ管に送られて回収されます。むくみとは静脈やリンパ管に回収されるべき水分が、皮下にそのまま停滞してしまう症状を指します。専門的には浮腫と呼ばれます。


静脈を流れる静脈血やリンパ管を流れるリンパ液は筋肉の収縮によって押し出され、身体内を循環しています。女性は男性と比較して筋肉量が少ないので、むくみはより女性に起こりやすい症状といえます。


むくみ(浮腫)の原因


一般的なむくみは不要になった水分が静脈やリンパ管へうまく回収されなかったことで起こります。特定の病気が絡んでいない場合、むくみは運動不足、同じ姿勢で長時間を過ごす、アルコールや水分の摂り過ぎ、塩分や糖分の過剰摂取、冷え、寝不足などによって起こりやすくなります。女性の場合、生理の前に多く分泌される女性ホルモンのプロゲステロンの影響で、この時期はむくみが起こりやすくなります。


むくみを起こす病気としては心臓、腎臓、肝臓の機能低下、静脈血の停滞(静脈瘤)、橋本病に代表される甲状腺機能低下症などが挙げられます。もし長期間、1日のサイクルに関係なくむくみが起こっているようなら一度、医療機関を受診されることをお勧めします。


むくみ(浮腫)の症状


むくみは慢性化すると身体の重だるさ、むくんでいる部分の動かしにくさや冷えなどをともなうことがあります。そこまで顕著なものではなくても、同じ靴が夕方になるときつく感じられたり、靴下の跡がなかなか消えないような方はむくみがあると考えられます。


むくみが現れやすい場所として、起床時は顔やまぶた、日中は下半身に起こりやすい傾向があります。これは睡眠中は横になっているので全身にまんべんなく水分が分布するのに対して、起床後は立っていたり座っていることが多いので重力によって水分が下半身へ移動するからです。


むくみ(浮腫)の西洋医学的治療法


むくみを起こしている特定の病気があればその治療がまず優先されます。それにくわえて余分な水分を尿として排出させる利尿薬が主にもちいられます。他には一般用医薬品(病院ではなく薬局で直接購入する薬)の赤ブドウ葉乾燥エキス混合物を含んだ薬は静脈血の流れを改善してむくみを除きます。


むくみ(浮腫)の漢方医学的解釈


漢方の視点に立って考えるとむくみには水湿が強く関係しています。水湿とは流れが滞って有効利用されない津液のことを指します。津液は気の力によって全身を循環しています。その気が不足したり、滞ってうまくはたらかなくなると津液も停滞してしまいます。


気の不足や停滞の他にも血の滞りである瘀血(おけつ)の存在や脾(消化器)の調子を崩しても水湿は発生してしまうので、その方の症状と体質からどのような原因で水湿が生まれたのかを考える必要があります。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いたむくみ(浮腫)の治療


漢方薬をもちいたむくみの治療は水湿を取り除く漢方薬が中心となります。水湿を除去するには白朮、茯苓、猪苓、沢瀉、蒼朮などの利水薬を多く含んだ漢方薬が使用されます。疲労感や食欲不振といった気の不足や脾の不調による症状が目立つ場合は人参、黄耆、大棗、甘草などの補気薬を配合した漢方薬も検討されます。


瘀血による生理痛や生理不順などの症状がみられる場合は桃仁、川芎、牡丹皮、紅花、延胡索といった活血薬、気分の沈みや息苦しさといった気滞の症状が顕著なら柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子などの理気薬を含んだ漢方薬もそれぞれ検討されます。


このようにむくみがあるから利水薬をもちいれば良いというものではなく、その方のむくみ以外の症状や体質にも着目して適切な漢方薬を選択する必要があります。


生活面での注意点と改善案


足を中心とした下半身のむくみ解消には軽いウォーキングが有効です。足の筋肉を動かすことによって静脈の流れが良くなり、余分な水分が停滞するのを防ぎます。仕事などで長時間、同じ姿勢でいるのも良くありませんので、定期的な屈伸運動などを行うのが好ましいです。適度に引き締まった着圧ストッキングやタイツを使用するのも良いでしょう。


むくみにくわえて冷え性(冷え症)もある方はしっかりとお風呂に入って、足首から股側に向かってマッサージを行いましょう。お風呂に入ることで足に水圧がかかり、効率的にむくみが解消できます。


むくみ(浮腫)の改善例


患者は30代後半の女性・看護師。仕事柄、運動不足にはならないものの立っていることが多いので勤務後半になると足のむくみが強くなるとのこと。特に病院から帰宅する際に靴を履きかえる時に足がパンパンになっているのがわかるという。


くわしくお話を伺うとむくみの他に手足の冷え、首と肩の凝り、生理痛があることがわかりました。そこでこの方には水湿を除く茯苓や沢瀉、血の巡りを改善する当帰や川芎を含んだ漢方薬を服用して頂きました。くわえて日頃からシャワーのみで過ごしていると伺ったので、しっかりと湯船につかるようお願いしました。


服用から3ヵ月が経つと顕著だった足のむくみは大きく改善されていました。帰りの際に外履きの靴に変えるのも靴べらがなくてもスムーズに行えているとのこと。その一方で冷えが気になりだしたということで身体を温める桂皮や細辛を含んだ漢方薬に変更しました。


新しい漢方薬にして2ヵ月が経過すると冷え性(冷え症)と一緒に生理痛や不快な凝り感も軽くなっていました。漢方薬を変更してもむくみが悪くなることはなく、こちらも順調に改善されました。この方は季節によって内容を微調節しながら漢方薬を継続して頂いています。


おわりに


むくみに悩んでいる方は女性を中心にとても多いです。くわえてむくみによる身体の重だるさや血行の悪化による冷えなどをともなうケースもみられます。そうなると不快感も含めて日常生活に支障が出てしまいます。


漢方薬はむくみの除去のみを行うのではなく、むくみを起こしている原因やそれ以外の諸症状の改善にも力を発揮します。慢性的なむくみでお悩みの方は是非一度、当薬局へご来局ください。

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