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【 円形脱毛症 】と漢方薬による治療

円形脱毛症とは

円形脱毛症はその名の通り、頭髪が円形に脱毛してしまう病気であり脱毛症においてもっとも頻度が高い病気です。 痒みや痛みなど脱毛以外の症状はなく、脱毛は突然起こります。 円形脱毛症以外の脱毛としては頭髪がすべて抜け落ちてしまう全頭脱毛症や、 頭髪だけではなく眉毛、まつ毛、腋毛、陰毛などの体毛も抜け落ちてしまう汎発型脱毛症が挙げられます

円形脱毛症の原因は明確には解明されてはいませんが、自己免疫疾患説が有力です。 そして、円形脱毛症はアトピー性皮膚炎などの他のアレルギー疾患や自己免疫疾患と一緒に起こりやすいことも知られています。 しばしば、円形脱毛症の原因としてストレスが疑われますが、ストレスはあくまでも円形脱毛症を「起こりやすくする一因」 と現在では考えられています。




円形脱毛症の西洋医学的治療法

西洋医学的には頭部にステロイド薬や育毛薬の塗付が行われます。 それ以外にも液体窒素を当てて毛根を刺激したり、特殊な紫外線を当てて免疫反応の異常を抑制するなどの治療法が行われます。




円形脱毛症の漢方医学的解釈

漢方医学において「髪は血の余り」「血余」と捉えています。 つまり、身体を維持する栄養素である血の一部が毛髪に生まれ変わるというものです。 したがって、円形脱毛症を含む全頭脱毛症や汎発型脱毛症は血の不足によって起こると捉えます。

血が不足した状態である血虚に陥ってしまう原因はいくつか考えられます。 血は気から生まれるので気の不足、慢性疲労、慢性疾患、精神的ストレス、出血、さらには血や気の滞りなどが血虚の代表的な原因です。 円形脱毛症を起こす場合はこれらの原因が複数絡み合って起こると考えられます。

ちなみに円形脱毛症と併発しやすいアトピー性皮膚炎も血虚によって血が充分に肌を栄養できなくなって起こると考えるので、 円形脱毛症の治療とアトピー性皮膚の治療は並行的に行われることが多いです。




漢方薬を用いた円形脱毛症の治療

漢方医学から見た円形脱毛症の原因は主に血虚にありました。したがって、円形脱毛症の治療も血を補い血虚を解消することが中心となります。 血を補う生薬である補血薬には熟地黄、当帰、芍薬、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などが挙げられます。これら補血薬は円形脱毛症を治療する漢方薬の核となります。

血虚から回復することは円形脱毛症治療において極めて重要ですが、どうして血虚に陥ってしまったのかを知ることも大切です。 血は気から生まれるので疲労感や食欲不振など気の不足が疑われる場合は気を補うことが不可欠です。 気を補う生薬である補気薬には人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などが含まれます。気を補う以外にも気の流れが悪ければ気血がもつ栄養作用を充分に発揮することができません。 円形脱毛症を患うことは多大なストレスとなります。そして精神的ストレスは気の流れを顕著に悪くしてしまうので柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子などの気の流れを スムーズにする生薬も必要となってくるでしょう。このように円形脱毛症の治療はただ血を補うのではなく、血が不足した原因を含めて幅広く対応することが求められます。




円形脱毛症の改善例

30代後半の男性・大学職員。1年ほど前から抜け毛が多くなっていることには気付いていましたが、散髪に行った際に500円ほどの大きさの円形脱毛を指摘されてその存在に気付いたという。 心配になり近所の病院を受診して円形脱毛症と診断され、外用のステロイド薬と抗不安薬を処方されました。 しかしながら、それらを服用しても大きな効果は得られず、立ちくらみや集中力欠如などの抗不安薬特有の副作用が気になりだしてしまった。 当薬局へはホームページを見て興味を持ち、ご来局。

お話を伺うと3年前から現在の職場へ移り、精神的なストレスを強く感じていたという。勤務時間も長く、ご本人はそれらが円形脱毛症の原因と考えられていました。 さらに円形脱毛症にくわえて体力の低下や疲労感、食欲不振を強く訴えられてもいました。漢方医学的に髪は血の生まれ変わりと考えるので、この方は血が不足している血虚の状態と考えました。 血虚以外にも食欲不振からくる気の不足もあると考え、この方にはまずストレスを緩和する柴胡、血を補う当帰、気を補う人参や黄耆などから構成される漢方薬を服用して頂きました。 柴胡にはストレスを緩和するだけではなく免疫調節作用も報告されているので、自己免疫疾患である円形脱毛症治療に用いてしばしば良い結果が出ていました。

漢方薬服用から5ヵ月ほどが経過した段階で、食欲も増して疲労感はだいぶ軽減されていました。お話を伺っていても以前と比べて声に張りと生気を感じました。 円形脱毛は依然として残っていましたが、抜け毛の量は低下して脱毛部がやや縮小したと喜ばれていました。これらを受けて同様の漢方薬で良いと判断し、根気強く継続の服用をお願いしました。 そして服用から合計で1年半が経った頃には脱毛はきれいに消失していました。この頃には職場にもだいぶ慣れて、精神的なストレスが軽減されていたことも改善に貢献したと考えられます。 この方は現在も体力の底上げと円形脱毛症の予防も兼ねて同様の漢方薬を継続して服用されています。




おわりに

近年、円形脱毛症をはじめとする脱毛症を訴えられる方がとても多くなった印象を受けます。 これはストレス社会と呼ばれる今日の世相を反映しているのかもしれません。 漢方薬は西洋薬では対応しきれないより根本的な原因に対応することができるものです。 当薬局では西洋薬やサプリメントを使用してもなかなか症状の改善が見られなかった方がしばしばご来局されます。 そして漢方薬を服用し始めてから、徐々に改善されることから脱毛症全般と漢方薬は「相性」が良いと実感しています。 是非一度、円形脱毛症などの脱毛症にお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

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