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【 マタニティブルー(産後うつ病) 】と漢方薬による治療

マタニティブルー(産後うつ病)とは


マタニティブルーは産後に起こる気分の変調を中心とした諸症状を指し、ほぼ「産後うつ病」「産後精神病」「産褥精神病」「育児ノイローゼ」などと同義に扱われます。マタニティブルーが起こる明確な原因は明らかにされていませんが、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの急激な減少が一因であるという説が有力です。


出産後の女性ホルモンの減少は誰にでも起こるものであり、マタニティブルーもまた誰にでも起こりえるといえます。マタニティブルーの症状は悲しみ、みじめさ、無気力、絶望感、孤独感、不安感、イライラ感、過度な緊張などのネガティブな精神症状を中心とします。それ以外にも強い疲労感、重だるさ、食欲不振、不眠症、集中力の低下、性欲の低下のように多彩な症状が現れます。


マタニティブルー(産後うつ病)の西洋医学的治療法


マタニティブルーの治療法は通常のうつ病などと大きく変わりません。主には抗うつ薬やカウンセリングを中心としたものになります。しかしながら、授乳中の場合は使用できる薬に制限がかかる可能性があります。


マタニティブルー(産後うつ病)の漢方医学的解釈


出産という「大仕事」を成し遂げた身体は疲労困憊しています。
これを漢方の視点からみると気と血が大きく失われた状態といえます。このような状態を気血両虚と呼びます。
気が不足すると疲労感、食欲不振、重だるさ、動悸、息切れ、ふらつきなどの症状が現れます。イメージとしては「元気が無い」状態といえるでしょう。


さらに血が不足すると不安感や不眠といった精神症状に加えてめまいや立ちくらみ、頭のふらつき、動悸、息切れ、ドライアイや眼精疲労、筋肉のけいれん、生理不順などの症状が現れます。これら気血両虚の状態はほぼマタニティブルーの諸症状を網羅しているといえるでしょう。


出産に伴う気血両虚もまた西洋医学的な解釈(女性ホルモンの減少)と同様に誰にでも起こりえるものです。その中でも元来、気や血が不足傾向の方は出産によって気血両虚が深刻化してマタニティブルーに陥りやすいと考えられます。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いたマタニティブルー(産後うつ病)の治療


マタニティブルーが気と血の不足である場合、治療の柱は気と血を補う漢方薬の使用となります。気を補う生薬(補気薬)には人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などが挙げられます。血を補う生薬(補血薬)には地黄、当帰、芍薬、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などが代表的です。したがって、気血両虚と判断できるマタニティブルーにはこれらの生薬から構成される漢方薬が有効といえるでしょう。


しかし、実際にはそれだけではなく慣れない育児によって精神的なストレスは気の流れを悪くしてしまいます。気の滞りは精神不安を引き起こすので滞っている気の流れをスムーズにする必要もあります。気の流れを円滑にする生薬(理気薬)としては柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子などが有名です。


マタニティブルー(産後うつ病)の改善例


患者は30代後半の専業主婦。不妊症治療(顕微受精)の末に念願のお子さんを授かりましたが、赤ちゃんの夜泣きや体重があまり増えないことなどに悩み抑うつ傾向に陥ってしまいました。詳しくご症状を伺うと気力の低下や不安感、不眠傾向も強く訴えられました。東京へは夫の転勤ではじめて来たため相談できる友人もいないので辛いとのこと。


この方は気持ちの落ち込みが顕著だったのでまず気の流れを改善する生薬(理気薬)である柴胡、半夏、厚朴、香附子などを含む漢方薬を中心に服用して頂きました。それに加えて地域の育児施設を利用して友人をつくることも併せて提案しました。


漢方薬を服用して3ヵ月が経った頃にはだいぶ気分も晴れてきたとのこと。育児施設でも少しずつ顔見知りの方も増えてきたご様子。この頃になると赤ちゃんもハイハイをするようになり、イタズラも多くなるので非常に疲れるという。そこで気を補う生薬(補気薬)である人参、黄耆、大棗、白朮などを加えた漢方薬に変更しました。


それから数ヵ月後には気持も楽になり、夜泣きのとき以外はよく眠れるので体力的にも余裕が出てきたとのこと。ご一緒にいらした赤ちゃんも小柄ではありましたが、お顔はぷっくりとして元気に食事も摂って成長中。現在もたまにため息が多くなることがあるということで、気の流れを改善する漢方薬を継続して服用して頂いています。


おわりに


マタニティブルーは非常に「今日的な病」といえるでしょう。様々なメディアで産後うつ病の患者数が増加しているというニュースを見聞きします。核家族化が進んだ結果、周囲に子育ての相談ができる両親や親族がいないという状況では誰でも大きなプレッシャーとストレスを受けることは想像に難くありません。


第一子の子育てとなれば夜泣きや授乳、ミルクや食事の準備にオムツ替えと何もかもが初体験のオンパレードです。あまりの環境の激変におかしくならないという方がおかしい(?)とさえ思えてきます。したがって、ストレスをコントロールする意味でも頑張りすぎないことがとても大切です。「60点なら大成功。40点で合格点」という気持ちで100点満点を目指さない子育てをお勧めしたいと思います。


私が住んでいる東京都豊島区は保健師さんの定期訪問や区民ひろばといった親子で利用できるサービスがいくつかあります。意外と内容も充実しており、積極的に利用することで他のお母さんから情報が得られたり悩みを相談することもできるようです。決して一人だけで悩まず、安心できる「居場所」を探してみてください。


当薬局にはマタニティブルーの症状が漢方薬の服用によって精神面と体力面の両方とも好転する方がとても多くいらっしゃいます。マタニティブルーにお困りの方は是非一度、当薬局にご来局ください。

【 橋本病(甲状腺機能低下症) 】と漢方薬による治療

橋本病(甲状腺機能低下症)とは


橋本病は甲状腺ホルモンを作りだす甲状腺が自己抗体によって攻撃され、甲状腺ホルモンが不足してしまう病気です。甲状腺ホルモンは身体を活性化させるホルモンなので、甲状腺ホルモンの不足によって疲労感や冷え性(冷え症)などの症状が現れます。


橋本病は圧倒的に女性に多い病気として知られています。なおかつ患っている方の人数自体も多く、女性の約10%が橋本病にかかっているというデータもあるほどです。橋本病以外にも甲状腺ホルモンが減少する病気、つまり甲状腺機能低下症は粘液水腫や甲状腺腫などいくつか存在します。しかしながら、その大部分は橋本病で占められています。


橋本病(甲状腺機能低下症)の原因


橋本病は自己抗体によって甲状腺が破壊されてしまう代表的な自己免疫疾患です。自己抗体による攻撃で甲状腺では炎症が起こることから、橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれます。


自己抗体とは本来ならば細菌やウイルスのように身体にとっての外敵を攻撃しなければならないのに自分自身(橋本病の場合は甲状腺)を攻撃してしまう抗体を指します。橋本病においてなぜこのような自己抗体が生まれてしまうか明確な原因は現在でも不明です。


しかし、他の自己免疫疾患(バセドウ病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群など)と同様に橋本病も極めて女性に偏った病気であることが知られています。このことから性ホルモンの男女差が自己免疫疾患の頻度に関係しているという仮説が挙げられています。


橋本病(甲状腺機能低下症)の症状


橋本病で不足してしまう甲状腺ホルモンは身体を活性化させる(交感神経を興奮させる)ホルモンです。簡単に表現すれば「身体を元気にするホルモン」といえます。したがって、橋本病は「身体を元気にするホルモン」が不足した病気なので、その症状は「元気が不足した」イメージとなります。


橋本病の具体的な症状としては疲労感、身体の重だるさ、筋力の低下、気力の低下、強い眠気、汗の減少、冷え性(冷え症)、脈拍数の減少、むくみ、体重の増加、皮膚の乾燥、声のかれ、記憶力の低下、脱毛、便秘などが挙げられます。気力の低下や倦怠感が強い場合、うつ病だと自己判断して心療内科を受診されるケースもみられます。


甲状腺ホルモンを含めたホルモン全般は単独で非常に多彩なはたらきをするので、その異常は心身両面に対してとても多くの症状を引き起こしてしまいます。


橋本病(甲状腺機能低下症)の西洋医学的治療法


橋本病は甲状腺が破壊されてしまうことで甲状腺ホルモンが不足する病気でした。残念ながら、破壊された甲状腺を再生する技術は存在しないので甲状腺ホルモン薬(主な商品名:チラーヂンS、チロナミン、レボチロキシンナトリウム)を用いた甲状腺ホルモン補充療法が橋本病治療の中心となります。


甲状腺ホルモン補充療法は橋本病治療の要であり、いかなるケースにおいても自己判断による服用の中止は禁物です。それは漢方薬による橋本病治療を行っている時も例外ではありません。その一方で甲状腺ホルモン薬の副作用である動悸、頻脈、不整脈、頭痛、めまい、ふるえ、吐気、食欲不振などが強く現れてしまう方は甲状腺ホルモン補充療法を満足に受けられないという問題もあります。


副作用以外にも、疲労感やむくみといった症状は強く現れているのに甲状腺ホルモン値が補充療法を行うほど低くないというケースもしばしば起こります。甲状腺ホルモン薬の副作用が目立つ場合や補充療法が行えない場合では漢方薬を使用した治療が現実的で最良の選択肢といえます。


橋本病(甲状腺機能低下症)の漢方医学的解釈


漢方医学的に橋本病を考えた場合、一連の症状から気虚との関連が深いといえます。気とは「生命エネルギー」のことであり、気虚とはその気が不足した状態です気虚の典型的な症状としては疲労感、倦怠感、息切れ、めまい、冷え性(冷え症)、食欲の低下、下痢や軟便、かぜなどの感染症にかかりやすくなるといったものが挙げられます。気からは身体を栄養する血や身体を潤す津液も生まれるので、気の不足が慢性化すると血や津液の不足も引き起こしてしまいます。


血が不足すると顔色の青白さ、皮膚の乾燥、爪や髪の荒れ、動悸や息切れ、めまいや立ちくらみ、不安感、不眠、女性の場合は生理不順などが起こりやすくなります。津液が不足すると喉や肌の乾燥、乾燥した咳などが現れます。


気は食事や呼吸から生み出される後天の気と両親から受け継いだ精から生まれる後天の気が存在します。橋本病の発症はこの両方の気の不足にくわえて、過労や橋本病以外の病気などによって気が消耗した結果と考えられます。これら以外にも、気と血は相互に入れ替わってもいるので血の不足によって気虚に陥る可能性もあります。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた橋本病(甲状腺機能低下症)の治療


橋本病は気虚との関連性が高く、その治療は気を補う漢方薬の使用が中心となります。疲労感や食欲の低下が目立つような気虚の方には人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などの生薬(補気薬)を含んだ漢方薬が選択されます。気虚の原因が精の不足にある場合は精を補う生薬(補腎薬)が必要となります。精を補う代表的な生薬は鹿の角である鹿茸です。鹿茸の他には血を補う力にも優れている地黄も使用されます。


橋本病は気虚が慢性化した状態であることが多いです。気の不足は結果的に血の不足も引き起こすことを考慮して、気虚の段階から血を生み出す生薬を含んだ漢方薬の使用も検討されます。具体的には芍薬、当帰、酸棗仁、竜眼肉、そして上記でも登場した地黄などが代表的な血を補う生薬(補血薬)です。


精神的なストレスなどによって胃腸の不調や無気力に陥ってしまう場合はその対処も重要になります。精神的なストレスは気の流れを悪くして脾のはたらきを弱めたり、気虚を悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。気の流れを改善する生薬(理気薬)としては柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子などが代表的です。


気は身体を温めるはたらきも担っているので気虚が進行すると冷え性(冷え症)が顕著になります。この状態を陽虚と呼びます。陽虚の症状が強い場合は気を補う人参や黄耆などの生薬にくわえて桂皮、乾姜、細辛、呉茱萸、附子などの身体を温める生薬を含んだ漢方薬が選択されます。


これら以外にも橋本病は個人差が大きい病気なので、患っている方によって症状は大きく異なります。したがって、橋本病という病名から漢方薬を決めるのではなく、その方に合わせて漢方薬を対応させることが大切となります。


橋本病の改善例


改善例1

患者は30代後半の女性・専業主婦。昔から強い疲労感や冷え性(冷え症)、そして下半身のむくみなどに悩まされていましたが第一子を妊娠した際の健診で橋本病が発覚。その後は病院での治療を経て無事に第一子を出産。出産後も甲状腺ホルモン薬を服用していました。甲状腺ホルモン薬を服用しているとある程度のご症状は回復しましたが、生理がなかなか戻らず、第二子希望が果たせずにいました。


詳しくお話を伺うと、疲労感や手先足先の冷えなど典型的な橋本病のご症状に加えて第一子出産から3年が経過しているのに生理が再開しないことにとても悩まれていました。この方の場合、気の不足だけではなく出産という「大仕事」をこなした影響で血も大きく不足している状態と判断しました。そこでまず気を補う人参、黄耆、白朮、そして血を補う地黄、当帰、芍薬などから構成される漢方薬を服用して頂きました。


漢方薬を服用しはじめて6ヵ月が経過する頃には以前と比較できないほど疲労感は軽減していました。むくみも除かれて夕方になると靴が履けなくなることも無くなったとのこと。ちょうどこの頃、季節は冬となり冷えが気になりだしたということで身体を温める乾姜や呉茱萸などを含む漢方薬に変更を行いました。


新しい漢方薬の効果も出て、その年の冬は例年とは違い手先にしもやけができることも無く、春の温かさを感じる頃には生理が再開されました。その後は気血を補う漢方薬と血の流れをよくするために身体を温める生薬をバランスよく調節しつつ漢方薬を続けて頂き、秋の訪れる前にめでたくご妊娠されました。その後、予定日ちょうどに無事3100gを超える元気な女の子をご出産されました。


改善例2

患者は40代前半の女性・会社員。30代の頃から慢性的な疲労感や気力の低下に悩まされ、定期健診をきっかけに橋本病と診断されました。専門の病院を受診しましたが、甲状腺ホルモンの値はホルモン補充療法を行うほど低くないので様子見となりました。しかし、ご症状によって日常生活に支障が出るほどになってしまい当薬局へご来局。


この方の肌は青白く、顔色も良くありませんでした。ご様子を伺うと爪の割れやすさや抜け毛の多さも気になるという。そこでこの女性には気を補う人参や白朮、血を補う地黄や芍薬を含んだ漢方薬を服用して頂きました。


服用から3ヵ月が経つと疲労感も徐々に減り、仕事にも集中できるようになったとのこと。一方で梅雨の時期に入ってから食欲の低下と軟便が気になりだしたということで、消化吸収を助ける山薬や蓮肉を含んだ漢方薬に変更しました。


新しい漢方薬にして2ヵ月が経過した頃には便通も安定し食欲も回復していました。そしてご本人からこちらの漢方薬の方が前回のものより爪や髪の調子が良いと伺ったので、梅雨が明けても同じ漢方薬を服用して頂きました。その後も継続服用によって心身ともに好調ということで、季節やご体調に合わせて微調節を行いつつ漢方薬を続けて頂いています。


おわりに


橋本病は女性を中心に意外なほど多くの方が患っている病気です。その一方で甲状腺ホルモン補充療法だけではなかなか疲労感や冷え性(冷え症)などの症状が治らない方が多いのも事実です。動悸や吐き気などの甲状腺ホルモン薬の副作用で満足に治療が受けられないケースにもしばしば遭遇します。


漢方薬の場合は病名や甲状腺ホルモン値にこだわらず、心身両面の症状改善を行えます。さらに橋本病の特徴である幅のある症状の個人差に合わせて調節することが可能です。つらい症状をともなう橋本病にお困りの方は是非一度、当薬局へご来局ください。

【 バセドウ病(甲状腺機能亢進症) 】と漢方薬による治療

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)とは


バセドウ病は甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気であり、自己免疫疾患のひとつです。甲状腺ホルモンは交感神経にはたらきかけて身体を活性化させる作用を持ったホルモンです。したがって、甲状腺ホルモンが必要以上に分泌されると身体がまるでいつも運動をしているような、過活動状態に陥りさまざまな症状が現れます。


甲状腺機能亢進症にはバセドウ病以外にも無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎などが含まれますが、多くの場合はバセドウ病のことを指す病名として扱われています。日本においてはバセドウ病という病名が一般的ですが米国などではクレーブス病(クレブス病)とも呼ばれます。


バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の原因


甲状腺ホルモンの分泌は甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺に存在するTSHレセプターを刺激することで起こります。早口言葉のようですが、単純にいえばTSHレセプターが刺激されることで甲状腺ホルモンが分泌されるということです。


バセドウ病の場合、TSHレセプターを刺激する抗体がなんらかの原因で生まれてしまい、まるで甲状腺刺激ホルモンのように甲状腺ホルモンの分泌を促してしまいます。このようなウイルスや細菌といった外敵ではなく身体の一部(バセドウ病においてはTSHレセプター)に作用してしまう抗体を自己抗体と呼びます。TSHレセプターを刺激する自己抗体は通常の甲状腺刺激ホルモンのような適切なコントロール(抑制)を受けないので、結果的に過剰な甲状腺ホルモンが分泌されることになります。


バセドウ病は本来なら身体を守るはずの免疫系が、自己に対して危害を加えてしまう代表的な自己免疫疾患といえます。バセドウ病は他の自己免疫疾患(橋本病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群など)と同様に女性、特に30代以上の女性に多いという特徴を持っています。


バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の症状


甲状腺刺激ホルモンのようなはたらきをする自己抗体は交感神経を興奮させ、まるでいつでも運動しているような身体状態をつくりだします。具体的には疲労感、身体の重だるさ、動悸、息切れ、頻脈、発汗、暑がり(ほてり感)、慢性的な微熱、手足の震え、体重の減少、皮膚のかゆみ、脱毛、口の渇き、便通回数の増加、イライラ感、入眠困難、眼球突出などが挙げられます。


バセドウ病において眼球突出という特徴的な症状が有名ですが、これは必ずしも現れるわけではありません。バセドウ病の諸症状は更年期障害と似ているものも多く、しばしば自己判断で更年期障害と思いこみバセドウ病が発見されずに放置されることがあります。


バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の西洋医学的治療法


バセドウ病の西洋医学的な治療は薬物治療、手術、放射線治療に分けられます。薬物治療においては甲状腺ホルモンの合成を抑制する薬を服用することによって過剰な交感神経の興奮を抑えます。薬物治療がうまくゆかない場合は手術が選択されます。手術によって甲状腺の一部を切除し、甲状腺ホルモンの生合成を抑えます。放射線治療は放射線を発生させる特殊なヨード薬を服用します。このヨード薬が選択的に甲状腺に集まることで、放射線の力によって甲状腺を破壊します。いわば「人工的に計画性を持った内部被ばく」を行う治療法といえます。


バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の漢方医学的解釈


漢方医学的にバセドウ病を見ると主に心肝火旺(しんかんかおう)という状態であると考えられます。心肝火旺とは精神的ストレスなどによって五臓六腑における心や肝に熱が発生している状態です。この「熱」とはあくまで漢方医学における熱であり体温計で測れる熱を指しているわけではありません。


心肝火旺という病的状態では生まれた熱によって発汗、暑がり、口の渇き、慢性的な微熱などいかにも「熱っぽい」多彩な症状が現れます。さらに心や肝は精神状態を安定化させる仕事も担っています。そこに熱が発生してしまうことで安定化が難しくなり、イライラ感や入眠困難といった精神症状も現れてきます。


その他にも心は血を全身に送り出す仕事も行っているので、熱によって動悸や頻脈などが引き起こされます。過剰な熱は徐々に体力も奪い、疲労感や重だるさ、体重の減少も顕著になってゆきます。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いたバセドウ病(甲状腺機能亢進症)の治療


バセドウ病は主に心肝火旺によって生まれた熱によって引き起こされる病気と考えられます。したがって、過剰な熱を取り除くことが治療の中心となります。この熱を取り除くには黄連、黄芩、黄柏、山梔子、知母、石膏などの清熱薬を含んだ漢方薬がもちいられます。


熱を生み出していた原因が精神的ストレスにあるケースでは柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子、薄荷、紫蘇などの気の流れをスムーズにする理気薬と呼ばれる生薬をもちいて肝や心の負担を軽減します。その他にもイライラ感や入眠困難などの精神症状が強い場合は鎮静効果の高い竜骨、牡蠣、酸棗仁、遠志などの生薬を含んだ漢方薬が使用されます。


心肝火旺によって生まれた熱が長引けば、大地が強い日光によって干からびてしまうように身体にも乾燥症状(肌のかゆみや口の渇きなど)が起こります。したがって、乾燥症状が見られるケースでは熱を取り除きながら麦門冬、天門冬、地黄などの潤いをもたらす生薬も検討されます。


このようにバセドウ病の症状は疲労感や動悸などの身体症状からイライラ感や入眠障害などの精神症状まで非常に多彩なので、病状と体質から適切な漢方薬をもちいることが非常に重要です。治療の進展によって病状は刻々と変化してゆくので臨機応変に対応することがポイントとなります。


バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の改善例


患者は40代前半の女性・保育士。数年前から動悸とのぼせに困っていましたが健康には自信もあったので「少し早めの更年期障害がきた」くらいに考えて特に病院にもかからなかった。しかし、徐々に疲労感と息切れまで出るようになり、うまく睡眠もとれなくなってしまいました。次第に多くなってくる症状に不安を感じて病院を受診。血液検査の結果、バセドウ病と診断されました。


病院からは甲状腺の一部切除手術を薦められるも抵抗を感じ、甲状腺ホルモンの量を低下させる薬物療法を開始。薬物療法を始めてからのぼせや発汗は減ってきましたが、時に起こる激しい動悸や寝つきの悪さはなかなか解消されなかった。病院の他に不快症状を軽減するためのサプリメントなどを探している際に漢方薬を扱う当薬局を知りご来局へ。


ご来局時に詳しくお話を伺うと、疲労感があるのにしっかりと眠れないのがとても辛いとのこと。体力的に余裕がなくなってしまった為か精神的にもやや不安定な印象でした。この方には熱性症状を鎮めるのに優れている黄芩や大黄、鎮静作用に高い効果が期待できる竜骨や牡蠣が含まれている漢方薬を服用して頂きました。黄芩と大黄には興奮を抑える働きもあるので竜骨や牡蠣と協同して入眠困難を解消する狙いがありました。


漢方薬を服用し始めて4ヵ月が経過した頃には布団の中で眠れないことに焦りや苛立ちを感じることも少なくなり、疲れている日はすぐに眠れるようになったとのこと。腹部から胸にかけて突き上げるような動悸が出ることも滅多になくなっていました。その一方でフルタイムの仕事をしている影響もあり、ややイライラ感が気になるとおっしゃられました。


そこで気の流れを円滑にして気持ちを落ち着ける柴胡や薄荷を含んだ漢方薬に変更しました。新しい漢方薬を開始して3ヵ月が過ぎると精神的にも落ち着きを取り戻し、心身ともに安定しているとのこと。この方はその後もバセドウ病の症状は軽減され、きついシフトの時期でもダウンすることがなくなりました。漢方薬は季節や体調の変化に合わせながら微調節を行い、現在も服用を継続されています。


おわりに


バセドウ病は現れる症状に個人差はありますが、女性を中心に意外なほど患っている方が多い病気のひとつです。今日、バセドウ病に対する西洋医学的な薬物療法はある程度確立されています。しかし、妊娠を希望されているので西洋薬が使用できない方や西洋薬を服用しても症状が改善しきらない方には漢方薬はとても有効な解決手段となるでしょう。


当薬局には西洋薬を使用してもなかなかバセドウ病の改善が見られなかった方、他にも副作用で服薬が継続できなかった方がしばしば来局されます。そして漢方薬を服用し始めてから、バセドウ病特有の動悸やイライラ感などの症状が少しずつとれてくることから、バセドウ病と漢方薬は「相性」が良いと実感しています。是非一度、バセドウ病にお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 レイノー病(レイノー症候群を含む) 】と漢方薬による治療

レイノー病(レイノー症候群)とは


レイノー病とは動脈が過剰収縮を起こすことによって手足の末端への血流が悪化し、しもやけをともなうような強い冷え、しびれ感、痛み、肌の色調変化を起こす病気です。このような四肢の冷えや肌の変化などをまとめてレイノー現象と呼びます。


さらにレイノー病と似た言葉にレイノー症候群というものがあります。前者のレイノー病は上記のようなレイノー現象を起こす基礎疾患が無いものを指します。簡単にいってしまえばレイノー現象を起こす原因が不明なケースがレイノー病となります。そして後者のレイノー症候群の場合、膠原病や振動的外傷(激しく振動する機器の操作など)によってレイノー現象が起こるケースを指します。


レイノー病は疫学的には女性、特に体力が弱い若年の女性に起こりやすい病気といわれています。レイノー病からより深刻な病態(例えば足先の壊死など)に移ることは少なく予後は良好とされています。一方でレイノー症候群は基礎疾患に依存することからレイノー病ほどの性差や年齢差は存在しません。予後についても基礎疾患の重さによっては組織の壊死や皮膚硬化などに移行する場合もあります。


レイノー病(レイノー症候群)の原因


レイノー症候群とは異なりレイノー病の明確な原因は不明です。しかしながら、レイノー病は気温の低下、精神的・肉体的ストレス、喫煙などによって手足の末端に存在する動脈の異常収縮が起こりやすくなることは知られています。血管の収縮は交感神経が副交感神経よりも活発に活動している際に起こるので、これら自律神経の異常がレイノー病の背景にあると推測されています。


レイノー症候群においてはレイノー現象を引き起こす原因となる疾患が存在します。代表的なものに膠原病の一種である全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症などが挙げられます。その他にも閉塞性動脈硬化、チェーンソーなどの使用による強い振動が手にかかり静脈が破壊されてしまうケースもレイノー症候群の原因となります。


レイノー病(レイノー症候群)の症状


上記で既に述べたとおり、レイノー病とレイノー症候群によって起こる諸症状はレイノー現象と呼ばれています。レイノー現象には四肢の冷え、肌の色の蒼白化や暗色化、さらにはしびれ感や痛みといった諸症状を含んでいます。


このレイノー現象はレイノー病とレイノー症候群によって幾つか異なっている点があります。まずレイノー病の場合、症状は左右対称に現れます。一方のレイノー症候群のケースでは左右非対称に現れやすいといわれています。さらにレイノー病は予後が良いのに対して、基礎疾患のあるレイノー症候群は症状を放置すると病状が悪化する恐れがあります。


レイノー病(レイノー症候群)の西洋医学的治療法


レイノー病の西洋医学的治療は主に血管拡張薬を用いての血流改善となります。重症の場合は血管を収縮させてしまう交感神経の切除も検討されます。レイノー症候群の場合はレイノー現象を起こしている基礎疾患の治療が間接にレイノー症候群の治療となります。無論、症状が強いケースでは血管拡張薬などが用いられます。


上記のような治療以外にも衣服による防寒、禁煙、睡眠時間を充分にとるといった生活習慣の改善がとても大切です。過剰なストレスは交感神経を優位にして血管を収縮させてしまいます。そうするとより一層、血流が悪くなり症状が悪化してしまいます。意識をしてリラックスした休息時間を確保し、副交感神経を活発化させることが大切となります。副交感神経が優位になると血管が広がり血流もよくなるのでレイノー現象の緩和に繋がります。


レイノー病(レイノー症候群)の漢方医学的解釈


レイノー病(レイノー症候群)には漢方医学独特の概念である瘀血(おけつ)が深く関与しているといえます。瘀血とは簡単に表現すれば血(けつ)の滞りや脈内から血が漏れ出てしまったことによって生まれる病的な物質といえます。現代西洋医学的には血栓がそのイメージにピッタリですが、より広く血の流れが悪くなっている状態を指します。


瘀血によってもたらされる症状は非常に多岐にわたります。その中でも代表的な症状としては局所的に現れる刺すような痛みや腫れ、肌の暗色化や硬化などが挙げられます。その他にも生理不順や生理痛なども含まれます。


上記のような症状に加えて瘀血が生まれたことで血の供給量低下、さらに気も不足したり流れが妨げられたりもします。漢方医学的に血が不足した状態を血虚(けっきょ)、気が不足した状態を気虚(ききょ)、気の流れが滞っている状態を気滞(きたい)と呼びます。


血虚の症状としては疲労感、身体の重だるさ、動悸や息切れ、めまいや立ちくらみ、肌の乾燥、顔色の蒼白化、髪質の低下や脱毛、不眠症や不安感の増大などが挙げられます。


気虚では疲労感、食欲不振、体重の減少、手足の強い冷え、風邪をひきやすい、胃下垂や脱肛などの内臓下垂、不正性器出血や皮下出血といった出血傾向が代表的です。


気滞が起こると喉、胸部、腹部などの張り感や苦しさ、息苦しさ、吐気、イライラ感、鈍痛などの症状が起こります。


基本的に瘀血の状態に陥ってしまうと連鎖的に上記のような血虚、気虚、気滞などの症状も現れるので、現実的には瘀血の症状に加えてこれらの諸症状も併発するケースがほとんどです。経験的には瘀血によって下記のような症状がセットで現れるケースが多いと感じます。


1)手や足の痛み+冷え+肌の暗色化+肌荒れや乾燥


2)身体の疲れ+肩や首の凝り+頭痛


3)身体の冷え+むくみ+生理不順+生理痛


4)身体の疲れ+腹部の張りや痛み+むくみ+食欲不振


5)出血+出血部の痛み+身体の疲れ


レイノー病(レイノー症候群)に関しては上記の1)が最も近い病態と考えられます。
さらにレイノー病(レイノー症候群)を患っている方は1)以外に挙げた症状も併せ持っている場合が必然的に多くなります。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)

漢方薬を用いたレイノー病(レイノー症候群)の治療


上記のとおり、レイノー病(レイノー症候群)には瘀血が深く関与していると考えられます。したがって、レイノー病(レイノー症候群)治療の中心はこの瘀血を治療することになります。瘀血を治療するための漢方薬には血行を改善する活血薬が多く含まれます。代表的な活血薬は当帰、芍薬、川芎、牡丹皮、紅花、田七人参、延胡索などが挙げられます。


さらに血は気の力によって循環しているので気の不足(気虚)や気の滞り(気滞)は血の流れを悪くしてしまいます。血の流れが悪くなると上記で説明したとおり、より一層の気虚や気滞の状態を招いてしまいますので気への着目は大切です。


気虚が顕著な場合(疲労感や冷えなど)では気を補う補気薬が併せて用いられます。主な補気薬としては人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などが挙げられます。気滞が明らかなケース(胸や腹の張り感、イライラ感など)では気の流れを緩和する理気薬が用いられます。多用される理気薬には柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子などが挙げられます。


その他にも血の不足(血虚)もまたしばしば瘀血を引き起こします。これは水をまくためのホース内に充分な水量が無いと勢いよく水が流れない状態に似ています。血虚によって起こる症状(顔色の悪さ、動悸や息切れ、めまいや立ちくらみなど)が目立つならば血を補う補血薬も用いられます。代表的な補血薬には地黄、当帰、芍薬、阿膠などが挙げられます。


経験的にレイノー病(レイノー症候群)の治療には上記の活血薬+補血薬+理気薬の組み合わせが基本となり多用されます。衰弱が顕著な場合や胃腸が弱い方の場合は理気薬を補気薬に切り替えたりします。さらに基本形の上に身体を温める働きに優れた生薬である散寒薬も適宜用いられます。具体的には附子、乾姜、桂皮、呉茱萸などが頻繁に用いられる散寒薬です。


これまで瘀血の原因と解消法を書いてきましたが、これら以外にも瘀血を生む原因(身体の冷えや外傷など)はいくつも存在します。それは上記以外にも様々な治療法があることを意味しています。したがって、瘀血の解消(レイノー病やレイノー症候群の治療)には個々人の状態に合せて漢方薬を選び取ることが非常に大切になります。


レイノー病の改善例


患者は30代前半の女性・介護福祉士。中学生の頃から手足の先が冷えてしもやけに悩まされていました。高校では部活動で身体を動かすようになって症状はやや改善するも、専門学校に進学して症状が再発。


自宅近くの診療所を尋ねてレイノー病と診断されるも「確実な治療法は無い」といわれてしまい、厚着をするなど「対処療法」でなんとかしのいでいました。しかし、専門学校卒業後、介護福祉士として働いていると冬の夜勤の時などはまともに仕事ができないくらい手足が冷えて、しびれでうまく歩けない時もあるほどになってしまいました。


このまま放置するわけにもいかず、なんとなくネットでレイノー病のことを検索するうちに当薬局を知りご来局へ。ご様子を伺うと顕著な四肢の冷えと肌の蒼白化、それ以外にも生理周期は順調でしたが強い生理痛、下腹部の冷え、下肢のむくみも気になるとのこと。生理痛はレイノー病と同じく冬に重くなる傾向がありました。


この方には桂皮、呉茱萸、細辛といった身体を温める働きに優れた漢方薬を服用して頂きました。漢方薬服用から4ヵ月が経つと、少しずつ手足や下腹部の冷えがとれてきたとのこと。漢方薬の味にも完全に慣れたとおっしゃられていました。


冷えが早い段階で解消されつつ、依然としてむくみと生理痛がまだ残っているということで漢方薬を変更へ。新しい漢方薬は血を補い流れも改善する芍薬や当帰、水分代謝を改善する茯苓や白朮などから構成されるものでした。


漢方薬変更から3ヵ月が経過した段階でむくみも生理痛も軽減。毎月服用していたロキソニン(消炎鎮痛薬)を服用しなくても良い状態になっていました。変更によって四肢を中心とした冷えがぶり返さないか少々心配していましたが、その心配も無くレイノー病の症状は現れませんでした。


服用から丸1年が経ち、冬になってもしもやけや歩行が難しくなるほどのしびれも起こらず、良い状態がキープできました。この方は現在でも症状や気候に合せながら服用量や内容を調節して継続的に漢方薬を服用して頂いています。

おわりに


レイノー病は血管が異常に収縮することによって血流が悪化し、冷えなどが起こる病気です。したがって、理論的には血管を広げる能力がある西洋薬を服用すればすべての問題は解決すると思えます。しかし、意外にも当薬局へいらっしゃる方の多くが病院の薬を服用してもなかなか冷えが消えないと訴えられます。


漢方薬はただ血行を改善するだけではなく、身体を内側から温めるはたらきにも優れています。この点が漢方薬と西洋薬とで大きく異なる点と考えられます。当薬局では西洋薬を使用してもなかなか改善が見られなかった方がしばしばご来局されます。そして漢方薬を服用し始めてから、末端を中心とした冷えやしびれなどの症状が少しずつとれてくることから、レイノー病と漢方薬は「相性」が良いと実感しています。是非一度、レイノー病にお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 メニエール病 】と漢方薬による治療

一二三堂薬局とメニエール病


当薬局では長年、メニエール病に代表されるさまざまなめまいに有効な漢方薬の研究を重ねてまいりました。その主な理由としてはメニエール病に対して有効な西洋医学的治療法が充分に確立されていないことが挙げられます。


その一方で下記でご紹介するような漢方薬はメニエール病に対してとても有効であることを経験的にも実績面からも実感しているからです。このページではメニエール病に対する漢方治療について解説させて頂きます。当薬局の情報につきましてはページ上段のアイコン、または下記のリンクをご覧ください。


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メニエール病とは


メニエール病は自分や周りがグルグルと回転しているように感じるめまいを繰り返し起こす病気です。メニエール病は回転性のめまい症状の他に耳鳴り、難聴、耳閉感(耳が詰まった感覚)を引き起こします。


「メニエール病」という病名は19世紀中期にフランス人医師のメニエールが内耳の問題によってめまいが起こると初めて報告したことに起因します。しばしばメニエール氏病、メニエル病とも呼ばれますがメニエール病という呼び名が最も一般的です。


メニエール病は男性よりも女性に多い病気といわれています。発症年齢に関しては30~40代にピークがありますが幅広い年代で発症します。性差や発症年齢の他に、やせ気味の方や几帳面な方が発症しやすいことも知られています。その一方でなぜメニエール病が発症してしまうのか詳しいは原因は分かっておらず、知名度が高い病気でありながら謎の多い病気でもあります。


メニエール病の原因


メニエール病の症状は耳の穴の奥にある三半規管(さんはんきかん)や蝸牛(かぎゅう)という部分に問題が生じることで起こります。そもそも耳は外側から内側に向かって外耳、中耳、そして内耳という区画に分割されます。外耳と中耳の間には鼓膜があり、三半規管と蝸牛は中耳のさらに奥にある内耳に位置しています。三半規管は三つの「輪」を集めたような、蝸牛はカタツムリの殻のような特徴的な形をした器官です。


三半規管の中はリンパ液という液体で満たされており、身体が動くとリンパ液も動く仕組みになっています。このリンパ液の動きをセンサーの役割を担っている感覚細胞が感知して情報を脳に送ります。こうして三半規管は主に回転運動を感知しています。


蝸牛の内部もリンパ液で満たされおり、音(つまり振動)を鼓膜や耳小骨を経由して蝸牛神経が感知します。その情報は脳に送られて音が認識されます。つまり蝸牛は聴覚を司っている器官といえます。


メニエール病はこれら三半規管や蝸牛を満たしているリンパ液の産生と吸収のバランスが崩壊し、リンパ液が過剰になることで起こるとされています。回転運動を感知している三半規管と聴覚を支配している蝸牛が充分に機能しなくなってしまうことで、メニエール病特有の回転性のめまいや難聴などが引き起こされると考えられています。


このようにメニエール病の「症状が起こる原因」は上記のようにほぼ解明されています。しかし、なぜリンパ液が過剰になってしまうのかという「メニエール病が起こる原因」に関してはまだ詳しくわかってはいません。


メニエール病の症状


メニエール病は三つの特徴的な症状を持っています。それは回転性のめまい、耳鳴り、難聴です。これらの症状はメニエール病の重要な診断基準でもあります。メニエール病の主症状であるめまい発作は数十分から数時間、ときには一日中続いてしまうこともあります。


その他にも吐気、耳閉感、聞いた音が響くといった症状も現れることがあります。メニエール病に限らずこういった辛いめまいの症状が中長期的に続いてしまうと心身ともに疲弊してしまい、気力の低下や抑うつ状態が併発することもあります。こうなってくると外出の機会などが失われてしまい、著しくQOL(生活の質)が低下してしまうこともありますので「たかがめまい」と侮ることはできません。


メニエール病を発症しやすいタイプ


メニエール病を引き起こす明確な原因は未だに解明されていません。その一方でメニエール病を発症しやすい方の特徴はいくつか知られています。まずは性格的に几帳面で真面目な方がメニエール病を発症しやすいというデータがあります。言い方を変えるとやや神経質な気質を持つ方ともいえます。


環境面では過労や寝不足によって慢性的に疲労やストレスが溜まっている方です。上記で挙げた真面目な方は仕事にも家事にも手を抜かず頑張りがちです。それが結果的に過度な疲労に繋がっている可能性もあるでしょう。


さらに体格的にやせ気味の方がよりメニエール病を発症しやすいといわれています。この体格とメニエール病の関係は漢方医学的な考えと非常に関連していますので、詳しくは下記をご参照ください。


メニエール病の西洋医学的治療法


西洋医学的なめまいの治療は主に薬物療法が用いられます。しかし、症状が薬物療法で治まらない場合やメニエール病以外の持病のために充分な薬物治療が行えない場合は手術(過剰なリンパ液を抜いたり、脳へ情報を送る前庭神経の切断)などが行われます。


具体的な薬物療法としては内耳の血流を改善するベタヒスチンメシル酸塩(主な商品名:メリスロン)や脳におけるめまいを感知する部分の機能を抑制するジフェンヒドラミン(主な商品名:トラベルミン)などが用いられます。メニエール病はある意味では「内耳で起こっている浮腫」と考えられるので、利尿によってこれを改善するためにイソソルビド(主な商品名:イソバイト)などが用いられます。他にも症状によってはステロイド剤、ビタミン剤、制吐薬、抗不安薬なども使用されます。


メニエール病の漢方医学的解釈


漢方医学的な視点からメニエール病を見てみると、そこには水湿(すいしつ)が深く関与していると考えられます。水湿とは身体にとって不可欠な水分である津液(しんえき)が流動性を失い、病的物質化したものを指します。水湿のイメージとしては「身体内に溜まって悪さをする、水っぽいヘドロのようなもの」と想像して頂ければ思います。


この水湿は暴飲暴食やもともとの体質的な脾胃(消化器)の不調、尿量減少といった水分代謝能力の低下、水分摂取過多、湿度の上昇、精神的ストレスによる気の巡りの悪化などが原因で身体内に生じます。水湿が頭部に生じると身体機能を維持するために必要な気や血(けつ)の流れをせき止めてしまいます。


頭部における気血の巡りが悪くなるとめまい、ふらつき、頭痛、頭重感、難聴、耳鳴り、耳閉感、集中力の低下などが起こります。
脾胃の調子が普段から悪い方はしばしばやせ型の方が多く、この点は上記で示したメニエール病を発症しやすいタイプとも一致しています。


水湿によって起こるのは頭部の症状だけではなく全身症状も現れます。具体的には倦怠感、疲労感、むくみ、食欲不振、軟便や下痢などが生じます。
さらにメニエール病は水湿以外にも精神的ストレスによって気の流れが乱れてしまう場合や、気や血の不足によって起こる場合もあります。したがって、しっかりと症状から漢方医学的な原因を判断する必要があります。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いたメニエール病の治療


上記で紹介した水湿がメニエール病の原因と考えられる場合、水湿を除去することが根本治療に繋がります。したがって、水湿を取り除く働きを持っている利水薬と呼ばれる白朮、蒼朮、沢瀉、猪苓、茯苓や化痰薬と呼ばれる半夏、陳皮、橘皮、竹茹、生姜などの生薬を含んだ漢方薬がメニエール病治療の中心となります。


水湿を取り除くだけではなく、水湿が生まれないようにすることも極めて重要です。水湿は多くの場合、消化器の不具合で起こりやすいのでそれらを立て直す人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などの補気薬が必要になってきます。体質的に食が細くてなかなか太れない方はまず補気薬を多く含んだ漢方薬が用いられます。


さらに今起こっているめまいやふらつきなどを抑えるための配慮も治療を継続するためには必要です。めまい自体を鎮める生薬としては天麻、釣藤鈎、菊花などの熄風薬(そくふうやく)が使用されます。精神的なストレスによって症状が悪化する場合は気の流れを円滑にする理気薬である柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子なども必要になってきます。


これら以外にも主訴や体質が微妙に異なる場合はそれに合わせて漢方薬を対応させる必要があります。したがって、実際に調合する漢方薬の内容もさまざまに変化してゆきますので、一般の方が自分に合った漢方薬を独力で選ぶのは非常に困難といえるでしょう。


生活面での注意点と改善案


漢方医学的にメニエール病に対する生活面での改善点を考えると、めまいを起こす原因である水湿を生まないような生活を心がけるべきです。まず、胃腸に負担をかけてしまう水分の過剰な摂取は控えるべきです。基本的には季節にもよりますが1日1.5L程度の水分摂取が適切でしょう。


近年、メニエール病にはこの適切な水分補給が症状緩和に有効とされています。ここで重要なのは「適切」という点であり、飲んだら飲んだ分だけ症状が回復するわけではありません。冷えたサラダ、フルーツ、ヨーグルトも「冷えた水分の塊」のような存在なので多く摂り過ぎないようにするべきです。常温になるまで置いておくか温かいものと一緒に摂るとよいでしょう。


さらに水湿は環境にも影響を受けます。具体的には夏場の高温多湿の時期は身体内の水湿と環境中の湿が呼応して、症状が悪化しがちです。梅雨の時期にめまい、ふらつき、身体の重だるさが悪化するのはこのためです。暑い日が続くと水分も摂り過ぎになりがちですので水湿によるめまいが最も起こりやすいといえるでしょう。梅雨を中心とした夏場は他の時期以上に暴飲暴食で胃腸を弱めたり水分の摂り過ぎにならないように気を付けてください。


ストレスの溜め過ぎも禁物です。しかし「ストレスを溜めないでください」という指示ほど難しいものはありません。そこでそこそこ疲労のとれる睡眠時間と週に1日の休日だけは確保できるように頑張って頂ければと思います。


メニエール病の改善例


患者は30代前半の女性・教員。大学院生の頃から「世界が回転するような」「足元がフワフワするような」めまいに悩まされていました。めまいは夕方ごろに決まって起こり、耳には飛行機に乗った時のように圧迫されるような不快感も感じていました。めまいの症状などから貧血なのかと自己判断して鉄剤などを服用しても改善されず、病院を受診してはじめてメニエール病と診断されました。


処方された薬を服用すればある程度は改善しましたが、梅雨の時期になると薬も効かず症状は悪化。夕方のめまいに加えて「ピーーッ」という耳鳴りと吐気も現れるようになりました。薬を服用しても何度も発作を起こすことに不安を感じ、当薬局にご来局。


漢方医学的にめまいには多くの原因が考えますが、この方は足のむくみが顕著な点とメニエール病の発作が湿度の高い梅雨時に集中している点から津液の停滞である水湿によるめまいと考えました。そこで茯苓、沢瀉、白朮、蒼朮といった水湿を除き津液の巡りを改善する生薬を多く含む漢方薬を服用して頂きました。その他にやや疲労が重なっている印象が強かったので、充分な睡眠時間の確保と脾胃を傷つけないために過剰な水分の摂り過ぎに気をつけるようお願いしました。


漢方薬を服用し始めて約2ヵ月が経過する頃には頻繁に起こっていた夕方の回転性のめまいと耳の詰まり感は起こらなくなっていました。しかしながら、フワフワするような不快な症状はまだ残っていました。さらにトイレの回数が多くなって困るとおっしゃられましたが、余分な水分が出ている良い傾向と考え同じ漢方薬を服用して頂くように説得しました。


そしてさらに4ヵ月くらいが経った頃にはめまいや耳鳴りの症状も消失し、トイレの回数も元通りになっていました。これは時間をかけて水湿が除去されたためと推測されます。下肢のむくみや吐気も改善して、より快適に過ごせるようなったとのこと。現在は毎年、繁忙期の春頃や梅雨の時期になると同じ漢方薬を服用するためにご来局されています。


おわりに


メニエール病は症状の重い方の場合、グルグルと回転するようなめまいと吐気に一日中悩まされてしまうこともあります。「ここでめまい発作が起こったらどうしよう…」という不安から外出や旅行などができなくなってしまい積極性が徐々に失われて、家に閉じこもりがちになるケースもしばしばです。そうなってしまうとストレスも溜まる一方になり、悪循環に陥ってしまいます。


漢方薬は西洋薬では対応しきれないより根本的な原因に対応することができるものです。当薬局では西洋薬を服用してもなかなか改善が見られなかった方がしばしばご来局されます。そして漢方薬を服用し始めてから、症状が好転する方がとても多くいらっしゃることから、メニエール病に代表されるめまい全般と漢方薬は「相性」が良いと実感しています。
是非一度、メニエール病にお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 冷え性(冷え症) 】と漢方薬による治療

冷え性(冷え症)とは


冷え性(冷え症)に明確な定義はありませんが、一般的には手先や足先といった身体の一部に不快な冷感を感じる状態が冷え性(冷え症)といえます。身体内においては筋肉で活発に発熱が行われており、男性と比較して筋肉量が少ない女性に冷え性(冷え症)が多いのはこのような理由です。しかしながら、最近は若い男性にも冷え性(冷え症)は広がっています。


冷え性(冷え症)は冷えによる不快感だけではなく、免疫力の低下や血行の悪化なども問題となってきます。これは経験的なものですが、当薬局に不妊症や生理不順のご相談でいらっしゃる女性の大半に冷え性(冷え症)がある印象を持っています。


西洋医学的に冷え性(冷え症)は橋本病に代表される甲状腺機能低下症などの病気によるもの以外は病気としては認識されにくいです。その一方で、漢方医学的において冷え性(冷え症)は病気と健康体の間の状態である未病(みびょう)と捉え、「立派な病的状態」と認識されます。


冷え性(冷え症)の西洋医学的治療法


上記で述べたとおり、なんらかの病気の結果として冷え性(冷え症)を患っている場合はその病気の治療自体が冷え性(冷え症)を回復させることにつながります。具体的には身体を活性化させるホルモンの不足である橋本病の場合、甲状腺ホルモン剤の服用で冷えが解消されることもあります。しかしながら、持病は無く体質的な冷え性(冷え症)となると西洋医学的に治療を行うのは困難といえます。


冷え性(冷え症)の漢方医学的解釈


冷え性(冷え症)を漢方医学的に捉えるとその主な原因は気の不足と考えられます。気はさまざまな働きを担っており、その働きのひとつが身体を温める作用である温煦(おんく)作用です。食欲不振や食が細い、過労や慢性病、生まれ持っての体質などの影響で気が不足がちになると身体を温める温煦作用が発揮できなくなり、結果的に冷え性(冷え症)になってしまいます。


気が不足して身体が冷えてしまう状態をしばしば陽虚とも呼びます。陽虚の症状としては冷え性(冷え症)以外に疲労感、身体の重だるさ、気力の低下、息切れ、便通異常、顔色の蒼白化などが挙げられます。陽虚(気虚)のイメージとしては「寒がりの元気がない人」という感じです。これら陽虚の症状以外にも、気が不足しているために血や津液の巡りも悪くなってしまうので多彩な症状が現れます。


気の不足は血や津液の滞りを生み、より一層、気の働きを弱めてしまうので冷え性(冷え症)を長く患っている方は改善にも時間がかかってしまう傾向にあります。上記の理由から冷え性(冷え症)は単独で現れることはほとんど無く、その他の不快症状を伴うケースが大半です。したがって、充分に症状や体質から冷え性(冷え症)がいかにして起こっているかを知ることがとても大切です。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた冷え性(冷え症)の治療


身体は気の力によって温められていましたので、漢方医学的には不足している気を補充することで冷え性(冷え症)の治療を行います。気を補う生薬としては人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などの補気薬が代表的であり、これらを豊富に含んだ漢方薬が主に使用されます。


しかし、実際には気を補う生薬に加えて直接的に身体を温める効果のある桂皮、乾姜、細辛、呉茱萸、附子といった散寒薬と呼ばれる生薬が補気薬とあわせて用いられます。


気が不足している場合は血の不足も疑う必要があります。これは血が気を「原材料」として生まれているからです。さらに気と血は相互に依存関係もあるので血を補うことは異なったルートから気を補うことにもつながります。したがって地黄、当帰、芍薬、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などの補血薬を、気を補う漢方薬に少量加えることで効果的に気を補えるようになります。


生活面での注意点と改善案


生活習慣の改善は冷え性(冷え症)に対してとても有効です。場合によっては生活を見直すだけで冷え性(冷え症)を半減させることも可能です。ここでは当薬局にいらっしゃる方にアドバイスしている冷え性対策をご紹介します。どれも難しいものではありませんので是非、漢方薬の服用と一緒に取り組んで頂きたいと思います。


冷たい飲み物の摂りすぎは控える

冷たい飲み物は身体を冷やすだけではなく脾胃(漢方医学用語で消化器のことです)の力も低下させてしまいます。身体を温める気や栄養を与える血は脾胃から生まれるので、お腹にやさしいホットな飲物を積極的に摂りましょう。1日の水分摂取量も1.0~1.2L程度を目安にしてください。水分は食物からもしっかり摂れているので飲み物ではこれくらいで大丈夫です。


食べ物も温かく

サラダ、フルーツ、ヨーグルトは「冷たい水分の塊」のようなものです。サラダは温野菜、特にキュウリやトマトなどの夏野菜は身体を冷やしやすいので加熱調理が良いでしょう。逆に冬野菜の根菜やニンニク、ショウガは身体を温めます。フルーツやヨーグルトは冷蔵庫から出した後、常温に戻して温かい飲み物と一緒に摂りましょう。


薄着は禁物

「生足」「へそ出し」「ノースリーブ」という「冷え性(冷え症)・三種の神器」は今すぐ「毛糸の靴下」「下着の上に毛糸のパンツ」「腹巻」という「保温・三種の神器」へ切り替えましょう。おへその下にカイロを入れると一層暖まります。生理不順などがある女性の場合は特に腹部を冷やさないよう意識してください。その他にもカーディガンやひざ掛けなどを持ち歩くと外出時のクーラー対策にもなります。これは夏場の過剰なクーラーにも有効です。


シャワーではなくしっかり湯船へ

シャワーは汚れを落とすもので身体を温めるものではありません。冬場は当然ですが夏場でもしっかり湯船につかりましょう。おススメは「ぬるめ(40℃~38℃くらい)のお湯で20分の半身浴」です。お風呂から出る直前の数分間は肩まで浸かって全身を温めましょう。


食事はバランス良く

「脂・甘・辛」の過剰は脾胃(消化器)を傷めやすいのでほどほどにしましょう。タンパク質は多くの熱を生み出すので積極的にとりましょう。例えば肉、魚、乳製品、大豆製品などです。忙しい朝などはハムチーズのサンドにホットミルクなどが適しています。


適度な運動を積極的に

筋肉は熱の「生産工場」であり「暖房器具」でもあります。身体中の熱の約60%は筋肉で生み出され、筋肉で温められた血液は全身を循環して保温します。まずはウォーキングや積極的に階段を利用することから始めましょう。


冷え性(冷え症)の改善例


患者は30代前半の女性・看護師。昔から四肢の冷え性(冷え症)に悩んでいましたが、転職先の病院は設備も古く暖房がうまく機能しないため夜勤時は冷えで足が痛くなるほどとのこと。足先から徐々に全身も冷えてしまうという。


詳しくお話を伺うと、夜勤や日中の勤務が入り混じる不安定な勤務状況なのでなかなか疲れもとれず困っているとのこと。実際に顔色もすぐれず、あまり生気が感じられない印象でした。この方は主訴と全体像から典型的な気の不足した状態である気虚と判断して人参や大棗、そして身体を温める乾姜などから構成される漢方薬を服用して頂きました。


漢方薬服用から4ヵ月が経過すると徐々に末端の冷えが弱くなり体力にも少し余裕が出てきたご様子。しかし、最近は足のむくみが気になりだしたということで、余分な水分を代謝する猪苓や茯苓を含んだ漢方薬に微調整。まだ足の痛みが出ることもあるということで温める他に鎮痛効果もある細辛を含んだ漢方薬も併用して頂きました。


新しい漢方薬の組み合わせから3ヵ月が経った頃には冷えやむくみ、冷えた時に起こる足先の痛みもほとんど消えていました。しかし、ちょうど冬に入りかけていた時期だったので漢方薬はそのまま服用して頂きました。


その後、冬本番となってしばしば雪がちらつくようになっても足の冷え痛みが出ることもなく、無事に「越冬」することができました。この方には体力維持と冷え性(冷え症)対策も兼ねて体調に合わせて微調節しながら現在も漢方薬を服用して頂いています。


おわりに


冷え性(冷え症)はライフスタイルにとても影響を受けやすい「病気」といえます。ファッション性を過度に重視した衣服は冷えを助長し、ダイエットや朝食抜きの食生活では充分な熱も生まれず冷え性(冷え症)は深刻なものになってしまいます。


漢方薬は西洋薬では対応しきれないより根本的な原因に対応することができるものです。当薬局では冷えに効くといわれるショウガやカプサイシンなどのサプリメントを服用してもなかなか改善が見られなかった方がしばしばご来局されます。そして漢方薬を服用し始めてから、冷えが少しずつとれてくることから、冷え性(冷え症)と漢方薬は「相性」が良いと実感しています。是非一度、辛い冷え性(冷え症)にお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 貧血 】と漢方薬による治療

貧血とは


貧血とは血液中に存在している赤血球や、赤血球に含まれるヘモグロビンと呼ばれるタンパク質が減少した状態を指します。人間は生きてゆくために酸素が必要です。呼吸によって空気中から取り込まれた酸素は肺から血管内に存在している赤血球に受け渡されます。より具体的には赤血球中のヘモグロビンと酸素が結びついた形で全身に酸素が供給されます。


最も一般的な貧血である鉄欠乏性貧血はその名前の通り、鉄が不足することによって起こる貧血です。鉄はヘモグロビンを構成する重要な物質であり、鉄の欠乏は酸素を運ぶヘモグロビンの減少につながってしまいます。貧血の有無や種類を判断する尺度はいくつか存在します。その中でもヘモグロビン濃度(ヘモグロビンは「Hb」と表記されることもあります)とヘマトクリット値が有名です。ヘモグロビン濃度とは1dL(1デシリットル)に含まれるヘモグロビンの重量を指しています。一方のヘマトクリット値は血液中で赤血球が占める割合を表したものです。


ヘモグロビン濃度では成人男性の場合、13g/dL未満。成人女性の場合、12g/dL未満。ヘマトクリット値では成人男性の場合、40%未満、成人女性の場合、35%未満が貧血と判断される目安となります。この数値以下ではなくても、年々低下傾向が続いているようなら注意が必要といえるでしょう。


鉄欠乏性貧血以外の貧血としては、血液をつくる骨髓の細胞が減少することで起こる再生不良性貧血。寿命の短い赤血球がつくられたり、赤血球を攻撃してしまう自己抗体によって赤血球が減ってしまう溶血性貧血。そしてビタミンB12と葉酸の不足によって起こる巨赤芽球性貧血などが挙げられます。その中でも本ホームページでは鉄欠乏性貧血を中心に解説してゆきます。


貧血の原因


鉄欠乏性貧血が起こる原因としては出血をともなう病気、月経による出血、偏食やダイエットによる鉄の摂取不足が代表的です。出血を起こす代表的な病気としては胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、裂肛(切れ痔)、胃がん、大腸がんなどが挙げられます。女性の場合は子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人科系疾患による不正性器出血も含まれます。


貧血の症状


貧血の主な症状としては動悸、息切れ、慢性的な疲労感などが挙げられます。その他にも頭の重さ、顔色の悪さ、口内炎の多発、爪の劣化や白色化などが起こる場合もあります。しかし、人間には現状に対して順応する能力があるので上記のような貧血症状が慢性的に推移した後、自覚症状が薄れてゆく場合もあります。貧血による慢性疲労も仕事や年齢からくるものと考えてしまい、そのまま放置されているケースも多いでしょう。


貧血の西洋医学的治療法


貧血の原因となる疾患(出血をともなう胃潰瘍など)があるようならばその治療が最優先となります。それと同時に鉄剤を服用するなどして貧血状態の改善を図ります。鉄剤はしばしば吐気や食欲の低下をもたらすこともあるので用法用量を守って慎重に服用しましょう。


鉄剤だけではなく、普段の食事からしっかり鉄を摂取することも大切です。鉄を豊富に含む食材としては豚や鶏のレバー、アサリやカツオ、ホウレン草やヒジキ、納豆などの豆製品が代表的です。特に肉や魚介類に含まれている鉄は効率的に吸収される性質があるので、積極的に摂ると良いでしょう。


貧血の漢方医学的解釈


漢方医学の視点から見て貧血の症状は主に血虚(けっきょ)の状態と考えられます。しかし、血は飲食物から生まれる気を主な起源としていることから、貧血は気と血が両方不足している気血両虚(きけつりょうきょ)の状態に陥っている方も少なくないといえます。


血虚の状態は文字通り、漢方医学における血が不足している状態です。血が不足してしまう原因としては血の原料ともいえる気や津液の不足、過労や心労、慢性病による消耗、出血などです。血虚の具体的な症状としては顔色の蒼白化、めまいや立ちくらみ、頭のふらつき、ドライアイ、肌の乾燥による痒み、脱毛、筋肉のけいれんや硬直、不眠症、不安感、生理不順、不妊症などが挙げられます。多くは私たちが「貧血」に対してイメージする症状と似ていますが、不眠症や精神不安といったメンタル面に関係する症状も血虚では現れます。


くわえて、気虚は気が不足している状態を指します。気虚に陥ってしまう原因としては先天の精の不足、脾胃(消化器)の不調、過労や慢性疾患による消耗などが挙げられます。気虚による症状としては疲労感、気力の低下、食欲不振、息切れ、汗の増加、動悸、胸苦しさ、身体の重だるさ、めまい、咳、風邪をひきやすい、内臓下垂、出血傾向などが挙げられます。


気血両虚の状態は上記の症状が合わさったものと考えられますが、すべての症状が均等に現れるのではなく個々人によって強弱が見られます。しかし、気血両虚のおおまかなイメージとしては「元気がない」「体力がない」といったものに集約されます。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた貧血の治療


貧血を血と気の不足と捉えた場合、それらを補う補血と補気が治療の基本方針となります。血を補う生薬としては地黄、芍薬、当帰、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などの補血薬が代表的です。補血薬は消化器の弱い方が服用すると、胃もたれや食欲不振が現れることもあるので下記の補気薬とうまく組み合わせる必要があります。出血の症状があるなら補血を行いつつ、艾葉や阿膠といった止血効果を持つ生薬もあわせてもちいられます。


消化器の力を回復して気を補う生薬には人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などの補気薬が挙げられます。このように貧血治療の漢方薬は補血薬や補気薬を個々人の症状と照らし合わせてバランスよく構成することが大切になります。


貧血の改善例


患者は30代前半の女性・ショップ店員。高校生の頃から生理が重く出血量も多かったので、生理後は貧血で倒れてしまうこともしばしばだった。その傾向は専門学校を卒業して就職しても変わらず、仕事中にしばしば立ちくらみや動悸に襲われることも。冷え性(冷え症)やしっかり寝てもとれない疲労感もあり困っていたところ、妹様が当薬局で便秘の漢方薬を服用していたのを機会に当薬局にご来局。


まず第一印象から色白で線も細く、見るからに貧血持ちの華奢な女性という雰囲気。詳しくお話を伺うと、貧血とその症状以外には特に生理後のダラダラ出血に困っているとのこと。病院から処方されている鉄剤は服用するとひどい吐気が出てしまうので、胃薬を飲みながらなんとか少量ずつ服用している状態でした。


この方の場合、生理出血過多の改善が重要と判断して当帰や芍薬など血を補う生薬に加えて、補血作用もあり止血効果もある阿膠と艾葉、さらに消化器の状態を底上げする人参や白朮などを含む漢方薬を服用して頂きました。


漢方薬服用から約4ヵ月が経った頃には毎回14日間以上続いていた生理出血は7日で治まるようになり、疲労感も抜けてきたという。良い傾向と考え、同じ漢方薬に冬の気候も考慮して身体を温める乾姜などを含む漢方薬を追加して服用して頂きました。


それからまた4ヵ月が経過した頃にはすっかり貧血による動悸や立ちくらみも消えて「体調の良かった中学生時代に戻ったみたい」とおっしゃられていました。顔色もほんのり赤みがかり、この時、初めて健康体の妹様とそっくりなお顔の姉妹だと気付きました。この方は現在も体力向上の意味合いで微調節をくわえつつ漢方薬を継続服用して頂いています。


おわりに


近年、ご来局される若い女性にお話を伺うと驚くほど多くの方が疲労感、足の冷えやむくみ、そして貧血の症状を訴えられます。この背景には食生活の乱れや長時間労働、そして無理なダイエットを行っている女性が増えている今日の世相を反映しているのかもしれません。


漢方薬は西洋薬では対応しきれないより根本的な原因に対応することができるものです。当薬局では鉄剤やミネラルを含んだサプリメントを服用してもなかなか改善が見られなかった方がしばしばご来局されます。そして漢方薬を服用し始めてから、貧血による疲労感などが少しずつとれてくることから、貧血と漢方薬は「相性」が良いと実感しています。是非一度、貧血にお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 疲労感(疲れ) 】と漢方薬による治療

以前、製薬会社の方から「日本ほど栄養ドリンクやビタミン剤が販売されている国は無い」というお話を伺いました。たしかにドラッグストアにはいくつもの栄養ドリンクや疲労回復をうたったサプリメントが並んでいます。


博報堂が2016年に行った調査(生活定点2016)によると「肉体的に疲れを感じていることが多い」「精神的に疲れを感じていることが多い」と答えた方は両方とも40%超でした。特に20~30代が強く心身両面の疲労感を訴える傾向があります。疲労感は長時間労働や共働きが一般的となった現代において誰もが抱く悩みといえるでしょう。


その一方でつらい疲労感はその背景に特定の疾患がない場合、病院などでは治療の対象とはなりにくく解決が難しい問題といえます。実際、当薬局には病院では異常なしといわれたけれど「漠然とした疲れ」「寝てもとれない疲労感」を訴えてご来局される方がとても多くいらっしゃいます。漢方医学的な視点から疲労感を見てみると、それは健康と病気の間に位置する未病(みびょう)の状態であり、「立派な病気」と捉えて治療の対象となります。


疲労感(疲れ)の漢方医学的解釈


疲労感と気虚

漢方医学的に疲労感を考えた場合、それを気虚の一症状と扱うのが最も適切でしょう。気虚の「気」とはその名のとおり、元気の「気」であり人間の身体活動に不可欠なエネルギーを指します。このエネルギーがなんらかの原因で不足してしまった状態を気虚と呼びます。


気虚の典型的な症状としては疲労感、身体の重だるさ、気力の低下、動悸、息切れ、めまい、日中の眠気、冷え性(冷え症)、食欲不振、下痢や軟便、風邪などにかかりやすいといったものが挙げられます。気からは身体を栄養する血(けつ)や身体を潤す津液(しんえき)も生まれるので、気の不足は結果的には血や津液の不足も引き起こしてしまいます。


血の不足である血虚に陥ると顔色の青白さ、ふらつき、動悸、息切れ、眼精疲労やドライアイ、筋肉のひきつり、不眠、不安感といった症状が起こりやすくなります。津液不足になると口の渇き、皮膚の乾燥、空咳や切りにくい痰などの症状がみられやすくなります。さらに気の不足は気の滞りにもつながるのでイライラや憂うつ感、のどや胸のつまり感、吐気、胃や腹部の張り、移動性の痛みなどに代表される気滞(きたい)の症状も出てくるでしょう。


気虚の原因

気虚の主な原因は2つ考えられます。まずひとつは気をうまく生み出せなくなってしまった可能性が挙げられます。気は食べ物から脾胃(漢方における消化器のことです)を介して生まれるので、ストレスや暴飲暴食などによって脾胃が弱ってしまった場合や生まれつき体質的に脾胃が弱いケースは気虚につながります。


そしてもうひとつの可能性としては気の過剰な消耗です。長時間労働による疲労の蓄積や慢性的な病気などによって生み出される以上の気が消費された場合にはやはり気虚に陥ってしまいます。それ以外にも血の不足である血虚から気虚に移行してしまう場合や、気や血の原料にもなる精(せい)が不足している場合なども考えられるでしょう。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた疲労感(疲れ)の治療


上記で説明したように疲労感と気虚は関連性が高く、それに対応する漢方薬を調合することが大切になります。しかしながら、気虚を引き起こす原因は多いうえに複雑なので、ここではしばしば遭遇するケースについて紹介してゆきたいと思います。


気虚を引き起こす原因として、まず脾胃の力が不足している場合が考えられます。この状態を脾虚(ひきょ)とも呼びます。食欲不振、下痢や軟便が続いているような脾虚の方は十分に食べ物が消化吸収されず、栄養素がうまく身体に取り込めていないのです。


上記のような脾虚の方は人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などの脾胃の力を高める生薬(補気薬)から構成される漢方薬を服用するのが有効です。徐々に食欲がついて消化器の調子も良くなれば気も充実してくるでしょう。食欲は普通にある方でも過労などで気を消耗している場合は補気を中心とした漢方薬を使用します。これは補気薬自体にも直接的に気を補う効果があるからです。


精神的なストレスなどによって食欲不振や無気力に陥ってしまう場合はその対処も重要になってきます。精神的なストレスは気の流れを悪くして脾胃の働きを弱めたり、気虚を悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。気の流れを改善する生薬(理気薬)としては柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子などが代表的です。


気の不足は結果的に血の不足を起こすことを考慮して気虚の段階から血を生み出す生薬(補血薬)を含む漢方薬が用いられる場合もあります。
代表的な補血薬には熟地黄、当帰、芍薬、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などが挙げられます。


これら以外にも疲労感を抱えている方の疲労以外の症状や体質は微妙に異なります。そのために詳しくお話を伺い臨機応変に漢方薬を対応させる必要があります。したがって、実際に調合する漢方薬の内容もさまざまに変化してゆきますので、一般の方が自分に合った漢方薬を独力で選ぶのは非常に困難といえるでしょう。


生活面での注意点と改善案


疲労感は軽い散歩、水泳、サイクリングなどによって身体機能を高めることで軽減につながります。一方で激しい運動や過度な休息は逆効果になることも知られており注意が必要です。気虚の状態は外敵から身を守る力も弱くなっているので冬のように風邪やインフルエンザが流行る季節はうがい手洗いなどの基本的な感染症予防も重要になります。


疲労感の改善例


患者は30代前半の女性・歯科衛生士。学生の頃は体力がある方でしたが大学病院に就職した頃から、人間関係や神経を使う仕事内容の影響なのか疲労感が抜けにくくなってしまいました。その傾向は結婚と出産でさらに顕著となり、仕事と子育ての両立が徐々に難しくなってしまいました。市販のサプリメントを使っても効果がなく、何か悪い病気になったかと心配して職場の病院を受診。


しかし、特に問題は発見されず疲労感の他にめまいや立ちくらみがあったのでアデホスとビタミンB12を処方されました。それらを2ヵ月ほど服用しても特に改善は見られず、ちょうど病院に置いてあった雑誌で漢方薬の特集を見て興味を持ち、当薬局にご来店。


詳しくお話を伺うと疲れやめまいの他に腹部の張り感と弱い吐気、四肢の冷え、動悸などが認められました。この方の症状から典型的な気虚と判断し人参、黄耆、大棗など気を補う生薬に加えて桂皮や乾姜という身体を温める生薬を含んだ漢方薬を服用して頂きました。
そして睡眠不足気味でもあったので、できる限り6時間以上の睡眠と15分間を目安にした半身浴をお願いしました(この方は普段、シャワーだけで済ませていたので)。


漢方薬の服用から約4ヵ月が経過する頃には身体も温まり食欲が出てきて疲労感もあまり感じなくなったとのこと。その一方でめまいと動悸は依然として残っていました。ここでめまいと動悸は血虚からきていると判断し、補気に配慮しながら地黄や当帰といった血を補う漢方薬に変更しました。


新しい漢方薬にしてから3ヵ月が過ぎるとめまいや動機も無くなり、疲労感もほぼ消失。
仕事後の保育園へのお迎えや子育てにも余裕が出てきたとのこと。この方は現在も補気と補血のバランスをご症状に応じて微調節しながら漢方薬を継続服用して頂いています。


おわりに


近年、強い疲労感を訴えられる方がとても多くなった印象を受けます。コンビニに行くとリポビタンDやレッドブルに代表される栄養ドリンクやエナジードリンクが所狭しと陳列されている点からも、疲労回復に対する需要が強いことがわかります。これは長時間労働が当たり前となった今日の世相を反映しているのかもしれません。


漢方薬は西洋薬では対応しきれないより根本的な原因に対応することができるものです。当薬局では西洋薬やサプリメントを服用してもなかなか改善が見られなかった方がしばしば来局されます。そして漢方薬を服用し始めてから、疲労感が少しずつとれてくることから、疲労感と漢方薬は「相性」が良いと実感しています。是非一度、抜けきらない疲労感にお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 膀胱炎(間質性膀胱炎を含む) 】と漢方薬による治療

膀胱炎とは


膀胱炎とは主に細菌感染によって膀胱の粘膜に炎症が起こる病気です。原因菌はいくつか種類がありますが、そのなかで最も多いのが大腸菌によるものです。大腸菌は主に便や肛門に存在し、そこから尿道を経て膀胱へ感染します。


膀胱炎はしばしば女性に多い病気とされます。その理由として女性の身体は構造的に尿道口、膣、肛門が近くに存在するため、大腸菌などの原因菌が肛門から尿道口へ移りやすいためと考えられます。さらに女性の尿道は男性と比べて短いので、尿道口から膀胱へ細菌が広がりやすいことも女性に膀胱炎が多い理由です。


一方の男性は女性よりも尿道が長いので原因菌が膀胱に到着する前に尿で洗い流されやすいです。つまり、男性はより膀胱炎になりにくい身体構造といえます。一方で尿道が長いので細菌が膀胱に至る前に尿道で尿道炎を起こし、そこから前立腺炎になってしまうケースが多いです。


間質性膀胱炎とは


上記において膀胱炎は主に細菌感染によって起こると説明しましたが、細菌が検出されない間質性膀胱炎というタイプの膀胱炎が存在します。間質性膀胱炎はしばしば無菌性膀胱炎とも呼ばれ、中年以降の女性により多いことが知られています。何らかのアレルギー反応や膀胱粘膜の異常が関与していると考えられていますが詳しい原因が不明なため、西洋医学的に治療が困難な膀胱炎といわれています。


間質性膀胱炎の症状は下記で示す一般的な膀胱炎とほぼ共通しています。しかし、間質性膀胱炎は治療が困難なために頻尿や排尿痛が慢性化しやすく、QOL(生活の質)を大きく低下させてしまう病気といえます。


膀胱炎の症状


膀胱炎で最も多い症状は排尿時に起こる下腹部の痛みやヒリヒリとした不快感です。それ以外にも尿量の少ない頻尿、残尿感、炎症が激しい場合は血尿が出ることもあります。間質性膀胱炎の場合、尿の回数や排尿への切迫感が細菌性の膀胱炎よりも多い傾向があります。さらに間質性膀胱炎が慢性化すると膀胱が萎縮、つまり小さくなってしまうことが知られています。


膀胱炎の西洋医学的治療法


西洋医学的な膀胱炎治療は抗生物質による原因菌の除菌が基本となります。一般的な膀胱炎の場合は除菌でほぼ改善しますが、間質性膀胱炎には無効です。間質性膀胱炎に対しては主に抗炎症薬、抗けいれん薬、筋弛緩薬、抗うつ薬などが使用されます。萎縮してしまった膀胱に対しては外科的に膀胱へ生理食塩水を注入する膀胱水圧拡張術も検討されます。しかしながら、間質性膀胱炎に対して明確な治療法は確立していないというのが現状です。


膀胱炎の漢方医学的解釈


漢方医学的に膀胱炎の原因は主に湿熱(しつねつ)によるものと捉える場合が多いといえます。湿熱とは身体において流動性を失ってしまった余分な水分である水湿(すいしつ)が、さらに熱を帯びた病的物質といえます。


湿熱の「原料」ともいえる水湿は主に、暴飲暴食や精神的ストレスなどによって消化器のはたらきが悪くなると生まれやすくなります。さらに水湿が長時間放置されたり、アルコールや脂肪分の多い食事を摂り続けると、徐々に水湿が熱を帯びて湿熱となります。


湿熱はその性質上、身体のより下部に溜まる傾向があります。したがって、湿熱が生じると身体下部へ移行し、脚を除けば最も下部に当たる膀胱に溜まりやすいです。膀胱に到った湿熱は膀胱が持つ本来の正常なはたらき(尿を作る、尿をためる、尿を出す)を妨害してしまいます。結果として膀胱炎特有の頻尿や残尿感、ひどくなると激しい痛みや出血も現れます。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた膀胱炎の治療


膀胱炎の原因が湿熱だった場合、水湿を除く利水と熱を鎮める清熱を同時に行う漢方薬が治療の中心となります。水湿を除く生薬としては白朮、蒼朮、沢瀉、猪苓、茯苓、車前子、木通などの利水薬(りすいやく)が挙げられます。熱を鎮める清熱薬(せいねつやく)は黄連、黄芩、黄柏、山梔子、石膏などが代表的です。


上記のような利水薬と清熱薬をバランスよく含んだ漢方薬が間質性膀胱炎も含めた膀胱炎の治療にもちいられます。特に沢瀉、車前子、木通は利水作用と清熱作用があるので膀胱炎治療に適した生薬といえます。


湿熱以外に膀胱炎は、過労や加齢によって五臓における腎(じん)のはたらきが低下し、それに引っ張られて腎と関連深い膀胱の機能も低下してしまうことで発症することもあります。そのような場合は腎の力を底上げする鹿茸、地黄、山茱萸、山薬、枸杞子などの補腎薬を含んだ漢方薬の使用も検討されます。


生活面での注意点と改善案


細菌感染による膀胱炎を防ぐ手段として陰部を清潔に保つことは基本中の基本になります。毎日の入浴にくわえて女性の場合、生理時にはナプキンをこまめに交換するよう心がけましょう。


意外な感染経路としては性交が挙げられます。性交時は手などに付着していた雑菌から感染が起こりやすいので、必ずその後に入浴しましょう。新婚性膀胱炎や蜜月(ハネムーン)膀胱炎という言葉があるほどですので油断はできません。入浴が難しい場合は排尿により雑菌を押し流すことも有効とされています。


入浴は清潔な状態を保つだけではなく、冷えによる膀胱付近の血流悪化を防いでもくれます。膀胱への血流が悪くなると免疫力が低下し、細菌が繁殖しやすい環境となってしまいます。衛生面と免疫面の両面から入浴は優秀な膀胱炎対策といえます。


しっかりとした睡眠時間と休息日を設けることも大切です。充分な休みをとることも細菌に対する免疫を維持するために大切です。他には排尿を我慢し過ぎるとその間に膀胱内で細菌が繁殖しやすいので控えましょう。


間質性膀胱炎の場合はアルコール、香辛料などの刺激物、カフェインを含んだコーヒーやお茶類、柑橘類やそれを原料としたジュース、チーズ類、豆類、煙草などによって症状が悪化しやすいといわれています。個人差は大きいとされていますが、これらを多く取り過ぎないように気を付けましょう。間質性膀胱炎に限らず、細菌性の膀胱炎を患っている間も炎症を助長させないために刺激物とアルコールは控えましょう。


膀胱炎の改善例


改善例1

患者は40代前半の女性・高校教師。昔から冷え性(冷え症)体質でトイレが近かったが、40代になってからは授業が終わるたびにトイレに行くようになってしまいました。ひどいときには1日に10~15回も小水が出るようになってしまい、排尿後もスッキリとした感覚がありませんでした。


その後、排尿後には決まってピリピリとした痛みが残り、下腹部にはいつも違和感を抱えている状態になってしまいました。さらに冬になるとこの傾向は一層顕著に。当薬局へは病院の治療でも症状が改善しなかったので、それなら漢方薬を試してみようと思い立ちご来局。


詳しくお話を伺うと病院で抗生物質を処方され、服用後は症状が改善するもすぐに再発を繰り返す状態でした。膀胱炎以外に冷え性はとても深刻で毎年、冬には手と足にしもやけができてしまうほど。授業中はストーブの近くからあまり動かず授業を進めているという。


この方には出来る限り下腹部を冷やさないように腹巻きとカイロの使用をまずお願いしました。舌の状態や足にむくみがあることなどから水湿の存在を疑い、湿を取り除く沢瀉や茯苓に熱を鎮める山梔子や滑石を含む漢方薬を服用して頂きました。


漢方薬を服用し始めて2ヵ月が経過した頃には1回の尿量が増えてトイレに行く回数や痛みの強さがだいぶ減ってきました。この頃から本格的な冬が始まり、より一層の防寒対策をお願いしつつ同様の漢方薬を継続。


それから5ヵ月が経った頃には頻尿や排尿痛などの症状はほぼ消えていました。その後は完璧に膀胱炎の症状がなくなるまで同じ漢方薬を維持しましたが、完治後は膀胱炎の発症予防を兼ねて身体を温めて血行を改善する漢方薬に変更。冷え性(冷え症)も改善に向かい、その後に繰り返す膀胱炎を再発することなく継続服用されています。


改善例2

患者は30代後半の女性・自営業。20代後半から生鮮食品の市場で品質管理の仕事に携わっていました。仕事柄、大きな冷凍庫や冷蔵庫に向かって作業をしていることが多く、身体は冷やしがちに。その頃から秋から冬にかけて頻尿が目立ち始め、しばしば膀胱炎にかかるようになってしまいました。


30代になると徐々に膀胱炎が治りにくくなっていると感じていましたが、その都度、病院の抗生物質などで治療を行っていました。しかし、ひどいと1日に15~20回くらいトイレに行くように。衛生に携わる仕事でもあるので頻繁にトイレに行くことも難しく、心配にもなり大病院で検査を受けて間質性膀胱炎と診断されました。一方でなかなか治療の効果が出ず、当薬局へご来局。


ご症状などを伺うと、間質性膀胱炎による頻尿やすぐ膀胱に尿が溜まるような不快感はありましたが、特に痛みはなし。頻尿以外の症状としては下半身の冷え、腰の痛みと重だるさ、そして疲労感が顕著でした。この方は五臓における腎の力が弱まっていると考え、腎のはたらきを底上げする地黄や山茱萸から構成される漢方薬を調合しました。


漢方薬を服用して3ヵ月が経過すると冷えや腰痛が緩和され、仕事中に立ったり荷物を持ち上げたりするのが楽なったとのこと。足先が水に浸かっているような冷えによる不快感も緩和されてきました。一方の頻尿には大きな変化はなし。漢方薬の変更を考えましたが、ご本人も季節の割には(当時は年始で雪がちらつくこともある寒い時期でした)体調が上向いているとの言葉もあり継続へ。


漢方薬服用から半年が経ち、春を感じられる頃になると徐々にトイレの回数も1日10回程度まで減り、一番悩まれていた仕事への影響も減ってきました。切迫した尿意もトイレの頻度と比例して落ち着き、常に意識が下腹部に向いているようなことはなくなりました。


初めての漢方薬を服用してから1年が経った秋には泌尿器系の症状とそれ以外の冷えや疲れやすさも、日常生活と仕事に支障がないレベルに。その後にこの方はご妊娠され、その間は漢方薬と中断。出産後に漢方薬の服用を再開されましたが、引き続き安定した状態を維持されています。


おわりに


膀胱炎の原因の多くは細菌感染によるものですが、その背景には冷え性(冷え症)を放置してしまったり、トイレを我慢し過ぎてしまうなどの問題もあります。換言すれば生活習慣などを見直せば大きく改善が見込める病気ともいえます。一方で生活面を見直してもたびたび膀胱炎を繰り返すようならば積極的に漢方薬を服用することをお勧めします。


漢方薬は西洋薬では対応しきれないより根本的な原因に対応することができるものです。当薬局では西洋薬を服用してもなかなか改善が見られなかった方がしばしばご来局されます。そして漢方薬を服用し始めてから、頻尿や下腹部の不快感などの症状が好転する方がとても多くいらっしゃることから、膀胱炎と漢方薬は「相性」が良いと実感しています。是非一度、慢性的に膀胱炎にお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 顎関節症 】と漢方薬を用いた治療

顎関節症とは


顎関節症(がくかんせつしょう)とは顎(あご)の関節や顎を動かす筋肉である咀嚼筋(そしゃくきん)のトラブルによって起こる病気です。主な症状は顎の痛み、口が大きく開けられない、口を開閉するたびにカックンと音がするといったものが挙げられます。顎関節症で最も訴えの多い痛みの症状は顎だけではなく、こめかみなど頭部のさまざまな部位でも起こります。


顎関節症の特徴として女性の方が患いやすく、その中でも若年から中年にかけてが多いことがわかっています。顎関節症を引き起こす原因は単一的なものではありません。しかし、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりによって顎に過度な負担がかかっていることが主要因と考えられています。


顎関節症の原因


顎関節症の発症はいくつもの要因が絡んだ結果として起こると考えられています。具体的には強い力を伴った歯ぎしりや食いしばり、左右のどちらかに偏った咀嚼の癖、歯のかみ合わせ不良、精神的ストレスによる全身の力みなどが挙げられます。


このように顎関節症を引き起こす原因は無意識のうちに顎の関節部分に過度な負担をかけてしまっているという共通点があります。さらに睡眠や食事といった生活習慣に関係が深いという点も特徴的です。


顎関節症の症状


顎関節症の症状は大きく3つに分けられます。顎の周辺を中心とした顎関節痛、大きく口が開けられないといった開口障害、そして開閉のたびに音が鳴る関節雑音が顎関節症の主要な症状です。 これら以外にも顎のだるさ、熱感、頭痛、首肩の凝り、眠りの浅さによる疲労の蓄積などもしばしば伴います。


上記のような症状の結果として長時間の会話ができない、集中力の低下、イライラ感、食欲不振なども起こりえます。このように顎関節症は「顎のトラブル」ではなく、心身全体に影響を及ぼしかねない病気といえます。


顎関節症の西洋医学的治療法


基本的に西洋医学的な顎関節症の治療は非外科的なものが中心であり、痛みに対しては内服の鎮痛薬を用いて対応することが一般的です。くわえて歯の摩耗の跡などによって歯ぎしりや食いしばりが確認できる場合は睡眠時のマウスピース装着も行われます。これらの効果が上がらなかった場合、歯や骨を削る外科的治療が選択肢となります。


顎関節症の漢方医学的解釈


漢方医学において「痛み」という症状は気血の流れが滞った結果として起こると考えます。顎関節症の中心症状であるつらい関節痛は漢方医学的に考えると痺証(ひしょう)とみることができます。痺証とは何らかの病邪によって気血の流れが阻まれ、その結果として痛みが起こるというものです。主な病邪としては風邪(ふうじゃ)、寒邪(かんじゃ)、熱邪(ねつじゃ)、湿邪(しつじゃ)が挙げられます。


痺証以外にも精神的なストレスによっても気の流れは悪くなりますし、気の力で身体を巡っている血も、気の状態が悪くなると引きずられるように滞ってしまいます。このように顎関節症は病名からすぐに原因などが導かれるものではなく、個々人によって大きく病態も異なります。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた顎関節症の治療


顎関節症の痛みが痺証による場合、痛みの現れ方や悪化する要因からどのようなタイプの病邪の影響が大きいかを理解することがとても大切です。具体的には冷えや高い湿度によって顎関節痛が悪化する場合は風寒湿痺、患部に熱感があり腫れが顕著なケースでは熱痺の可能性が高いです。


風寒湿痺の絡んだ顎関節痛には温性の麻黄、桂皮、防風、独活、蒼朮などの祛風湿薬を多く含んだ漢方薬が用いられます。熱痺の痛みに対しては寒性の薏苡仁や防已などの祛風湿薬に石膏や知母といった熱を冷ます力が優れている生薬(清熱薬)が組み合わされた漢方薬が適しています。


一方で顎関節痛がストレスで悪化する場合などは五臓六腑における肝のはたらきが乱れ、筋肉が過緊張状態に陥っている可能性もあります。このようなケースでは気の巡りをスムースにする柴胡、厚朴、半夏、薄荷、枳実、香附子などの理気薬を含んだ漢方薬が選択されます。


上記以外にも血の滞りによる瘀血(おけつ)も痛みを起こす原因となりますので充分に考慮するべきでしょう。このように顎関節症という病名だけではなく、治療にはどのような原因で顎に痛みや不快感が生じているのかを考える必要があります。


生活面での注意点と改善案


顎関節症は生活習慣の影響を受けやすい病気でもあります。歯が食いしばりなどによって削れている痕跡があるようなら睡眠時にマウスピースの着用も検討するべきでしょう。食いしばりが長く続くと顎関節症だけではなく、歯に亀裂が入り知覚過敏の原因にもなります。


食事中も知らず知らずのうちに左右のどちらかで噛む癖があると、顎のバランスが崩れて負荷がかかりやすくなります。こちらも右側で10回噛んで、左側でも10回噛むというように意識して均等にするべきでしょう。くわえて顎関節痛が強い時はあまり固いものを食べるのは避けるべきです。


そして日頃から「自分は無意識に力みやすい」という体質(癖)を自覚して、意識的に筋肉の力を抜く時間を設けることも大切です。肩や首の凝りが目立つ、気が付くと肩がいつも高い位置にあるような方は要注意です。


顎関節症の改善例


患者は30代前半の女性・薬剤師。数年前からハンバーガーなどを食べるために大きく口をあけるとカコンッと音がしたり、軽い痛みがあった。当時はご症状も頻繁ではなかったのであまり気にしてはいなかったとのことですが、残業やデスクワークが増えると食事中以外の時も顎やこめかみの部分に強い痛みが起こり始めた。


仕事への支障も出てきたので歯科医院へ行くと奥歯の摩耗から日常的な食いしばりの癖を指摘されマウスピースも作成。しかしながら、なかなかご症状は良くならず鎮痛薬の服用回数ばかりが増えることに心配となり当薬局へご来局。


お話を伺うと顎関節症による痛みと顎のだるさがいつも気になってしまうとのこと。それ以外のご症状としては首や肩の凝りと痛みも目立ち、気が付くと数分おきに首肩を自分でマッサージしているという。冷え性(冷え症)もつらく、冬場の外出はいつも着込んで「重装備」で対応している。


この方の顎関節痛には寒邪が関係していると考えて桂皮、麻黄、附子などの身体を温める生薬を中心とした漢方薬を服用してもらいました。服用から3ヵ月が経つと声が出てしまうほどの鋭い痛みのご症状はだいぶ緩和されたとのこと。一方でまだ違和感と首肩の凝りは続いていました。そこで時期的にも暖かくなってきたこともあり、柴胡や薄荷を含んだ心身の緊張を取り除く漢方薬に軌道修正しました。


新しい漢方薬を服用して2ヵ月ほどで効果は現れ、肩の力がうまく抜けるようになったとのこと。朝起きた時に目立っていた顎やこめかみの不快感も緩和されていました。この漢方薬を服用していると生理前の気分の沈みや生理痛も緩和されるということで、この方には継続して服用して頂いています。


おわりに


顎関節症を中心とした顎に関わるトラブルは軽度の方も含めると相当数に上るといわれています。その中でも慢性化したつらい痛みを伴う顎関節症は食事の際を筆頭に生活の質を大きく下げてしまいます。痛みだけではなく、会話中にも痛みや凝り感がある場合はなおさらです。


顎関節症は単独ではなく肩こり、頭痛、心身の緊張など複数の症状をしばしば伴います。漢方薬を用いた顎関節症の治療はこれらも含めた全身症状の改善を目指すものです。顎関節症にお困りの方は是非一度、当薬局へご来局ください。

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