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【卵巣嚢腫・チョコレート嚢胞】に漢方という選択肢|症例紹介あり

卵巣嚢腫とは|卵巣に体液などが袋状に溜まっている状態

卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)とは、卵巣の中に本来存在しない体液や血液などが溜まり、袋状に腫れてしまう病気です。

具体的には、サラサラした体液が溜まったものを漿液性(しょうえきせい)嚢腫、古い血液が溜まったものをチョコレート嚢胞などと細分化します。

卵巣嚢腫が大きくなると、下腹部の圧迫感や痛み、膀胱や腸を圧迫することで頻尿や便秘などが起こることもあります。

卵巣嚢腫は卵巣で起こる腫瘍(しゅよう)の中でも、その多くが良性であることも特徴です。

良性腫瘍とは|周りを破壊したり転移しない

卵巣嚢腫はしばしば、良性腫瘍と説明されます。

腫瘍とは、体の中の細胞が本来のルールを無視して、勝手に増え続けてできた「かたまり」のことです。

卵巣嚢腫の場合、患部の周りを破壊したり、他の場所に移動(転移)して害を及ぼすことは基本的にありません。

卵巣嚢腫の他に子宮筋腫も代表的な婦人科系の良性腫瘍です。

子宮筋腫については子宮筋腫に漢方という選択肢でも解説しておりますので、あわせてご覧ください。

卵巣嚢腫の種類

卵巣嚢腫は卵巣に「何が溜まっているか」で大きく4種類に分けられます。下記では種類ごとに特徴を解説します。

漿液性(しょうえきせい)嚢腫

漿液性(しょうえきせい)嚢腫は卵巣に水のような粘性の低い体液が溜まった状態です。

卵巣嚢腫の中でも特に良性と言われていますが、患部が巨大化してしまうケースもあります。

粘液性(ねんえきせい)嚢腫

粘液性(ねんえきせい)嚢腫はその名前の通り、患部にネバネバとした粘性の高い体液が溜まった状態です。

特徴として数十センチ以上に巨大化してしまうリスクが高く、腹部の圧迫感や鈍い痛みの原因になりやすいです。

皮様(ひよう)嚢腫

皮様(ひよう)嚢腫は卵巣に脂肪、髪の毛、歯、骨、軟骨、皮膚などの体の一部が形成され、溜まっている状態です。

皮様嚢腫は成熟嚢胞性奇形腫(せいじゅくのうほうせいきけいしゅ)とも呼ばれます。

皮様嚢腫が生まれてしまう原因は、卵巣の中にある「卵子のもとになる細胞(胚細胞)」が、受精もしていないのに勝手に分裂を始めてしまうためとされています。

本来なら受精して赤ちゃん(胎児)になるはずの力が、間違った場所で発揮されてしまい、体のパーツがバラバラに作られて溜まってしまうのです。

非常に衝撃的な病気ですが、大きくならなければ痛みなどの不快症状は起こりにくいです。

一方で大きく成長してしまうと、その重みで卵巣をねじってしまい激痛を引き起こしてしまうこともあります。

チョコレート嚢胞

チョコレート嚢胞は、卵巣に古い血液が溜まった状態を指します。その外見がチョコレート状であることから、このように呼ばれています。

チョコレート嚢胞の特徴として、強い生理痛(月経困難症)を伴うことが多く、不妊の原因にもなる点が挙げられます。

慢性化してしまうと周囲の組織と癒着(ゆちゃく)して、さらなる痛みの原因にもなってしまいます。

また、40代以降では数%の確率で癌化(卵巣がんに変化)するリスクがあるため、注意が必要な卵巣嚢腫のタイプといえます。

卵巣嚢腫の症状

卵巣嚢腫の主な自覚症状は、腹部の圧迫感、下腹部痛、腰痛、性器不正出血、便秘、頻尿などが挙げられます。

一方でこれらの自覚症状は卵巣嚢腫の種類や大きさで大きく異なります。

チョコレート嚢胞のように慢性的に、しかも年々悪化する生理痛に悩まされるケースや、軽い腹部の張り感のみの場合もあります。

卵巣嚢腫の西洋医学的治療法

卵巣嚢腫の自覚症状が軽く、悪性の可能性も低いようなら積極的な介入は行わず、経過観察となるケースが多いです。

自覚症状が強い場合は、低用量ピルなどの薬物治療が選択されます。

卵巣嚢腫は排卵や女性ホルモンの周期的な変化によって成長することが知られています。低用量ピルによってこれらを抑制し、卵巣嚢腫が悪化することを防ぎます。

低用量ピルが無効であったり、症状が強い場合は手術が選択されます。

卵巣嚢腫のサイズが小さいものならば腹腔鏡を用いた摘出手術が可能であり、ある程度の大きさ以上の場合は開腹による手術が適用されます。

漢方医学から見た卵巣嚢腫

漢方医学的に卵巣嚢腫は瘀血(おけつ)と呼ばれる血の滞りによって生まれるものと考えます。

瘀血が生じると刺すような強い生理痛、不正性器出血、生理不順などが起こりやすくなります。

婦人科系のトラブル以外にも、冷えのぼせ、肌のあざやシミ、内出血、首肩こりなども瘀血によって起こる代表的な症状です。

血が滞る理由|気の問題や冷えなどが背景に

血の滞りが起こる原因はいくつか考えられます。まず血を動かして、身体中を巡らすのは気の働きです。

気が何らかの影響で不足したり、気が滞ってしまった場合、気の力が十分に発揮されず血も滞って瘀血が生まれてしまいます。

気のトラブル以外にも冷えによっても血の流れは悪くなってしまうので、冷え性(冷え症)を改善することは非常に大切です。

実際に当薬局にいらっしゃる卵巣嚢腫を患っている方の多くに、冷えが見られます。

水分の停滞

卵巣嚢腫において、患部には血液だけではなく体液(水分)が溜まっているケースもあります。

卵巣嚢腫に加えてむくみ、軟便や下痢、頻尿、胃腸虚弱などが見られる場合は水分代謝の不調も疑う必要があります。

このように卵巣嚢腫には十人十色の複合的な原因や背景があるといえるでしょう。

したがって、個々人の体質や症状などから慎重に原因と治療法を決定する必要があります。

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漢方薬を用いた卵巣嚢腫の治療

血や水分の巡りを改善する漢方薬が治療の中心

卵巣嚢腫治療の中心になるのは、血の流れを改善する生薬(活血薬)を含む漢方薬です。

活血薬には桃仁、当帰、川芎、牡丹皮、紅花、延胡索などが挙げられます。

特に延胡索は優れた鎮痛効果を発揮し、当帰は血を補う力も強いので血が不足している方の卵巣嚢腫にとても有効です。

他にも漿液性嚢腫のように水分の流れが滞っている場合、それらの巡りを良くする白朮、茯苓、沢瀉、猪苓などを含んだ漢方薬も検討されます。

気のトラブルや冷えの対応も

血を動かしているのは気でしたので、気に対応した漢方薬も卵巣嚢腫の治療に用いられます。

気が不足してしまうと日常的に疲労感、身体の重だるさ、食欲不振、息切れなどが顕著になります。

このような症状も目立つ方には、気を補う生薬(補気薬)である人参、黄耆、大棗、白朮、甘草なども含んだ漢方薬が用いられます。

卵巣嚢腫はしばしば不正性器出血の原因になります。慢性的に血が失われてしまうと気も不足しやすいので、気の補充は大切です。

精神的ストレスなどを受けて気の流れが悪くなる気滞(きたい)に陥ると、瘀血が生じる原因となります。

気分の落ち込みや不眠症などの精神症状、喉の圧迫感や胃腸の張り感などの身体症状が代表的な気の滞りによる症状です。

気滞の症状が強い場合は、気を巡らす理気薬の柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子なども必要になってきます。

さらに冷え性(冷え症)も血の流れを悪くするので、身体を温める生薬(散寒薬)である桂皮、乾姜、細辛、呉茱萸、附子も検討されます。

このように卵巣嚢腫に用いられる漢方薬は活血薬を中心としつつ、その方の症状や体質によって様々に変化していきます。

卵巣嚢腫を悪化させないためのセルフケア

当薬局にご来局される卵巣嚢腫の方のほぼすべてに共通しているのが、冷え性(冷え症)です。

冷えは上記のように血の流れを悪くしてしまうので、子宮の栄養状態が悪くなってしまいます。

結果として卵巣嚢腫による生理痛だけではなく、生理不順、不妊症なども起こしやすくなります。

したがって、まずはこれ以上身体を冷やさないようにすることが大切になります。

冷え対策の基本は薄着を避ける

服装に関しては特に冬の服装、ファッション重視の薄着は問題になりがちです。

以前、「ファッションは我慢」という言葉を聞いて妙に納得したことを記憶しています。しかし、金銭面の我慢ならともかく、健康に問題が出てきては我慢している場合ではありません。

しばしば、「生足」「へそ出し」「ノースリーブ」という「冷え性(冷え症)・三種の神器」を携えてご来局される方も多くいらっしゃいます。

そうなるといくら漢方薬で対応しても、薬効が相殺されてしまい十分な効果が期待できなくなってしまいます。

まず、冷え性(冷え症)の方は「毛糸の靴下」「下着の上に毛糸のパンツ」「腹巻」という「保温・三種の神器」がお勧めです。

その他にもカーディガンや毛布などを持ち歩くと外出時のクーラー対策にもなります。これは夏場の予期せぬクーラーにも有効です。

シャワーは避けてしっかり入浴を

他にもぬるめのお風呂に長く浸かるといった方法も冷え性(冷え症)には有効です。

熱すぎるお風呂は長く浸かっていられません。結果的に身体の芯まで温まらなくなってしまいますので、ご注意ください。

さらにシャワーは身体の汚れを落とすものであり、温めるものではありませんので冬だけではなく夏もしっかりと湯船に浸かることをお勧めいたします。

卵巣嚢腫の改善例

患者は20代後半の女性・団体職員。中学生の頃から生理痛が強く悩んでいましたが、特に婦人科を受診することなく過ごしていました。

社会人になっても市販の鎮痛薬を服用していましたが、下腹部痛だけではなく生理後に必ず不正性器出血も起こるようになり慌てて婦人科を受診。

そこで卵巣嚢腫の一種であるチョコレート嚢胞と診断されました。

くわしい検査の結果、チョコレート嚢胞の大きさはまだ小さかったので手術は行わずまずは経過を見ることになりました。

高校時代にニキビ治療の漢方薬を服用してうまくいったことを思い出し、漢方薬を使ってみようと考えて当薬局にご来局。

詳しく症状を伺うと生理痛にくわえて生理不順、不正出血による貧血、それによると考えられる立ちくらみもあるとのこと。

顔色が悪いだけではなく、声に元気がなく全体的に弱々しい印象。

この方にはまず血を補う生薬と血を巡らす生薬から構成される漢方薬を服用していただきました。

漢方薬を服用し始めてから5ヵ月が経った頃には生理痛も緩和され、不正出血も減少したので頻繁に起こっていた立ちくらみも無くなっていました。

薄暗かった顔色も、少し赤みのある鮮やかな肌色になりました。

一方でチョコレート嚢胞の大きさは変化が無かったので、余分な水分の代謝を促す生薬をより多く含んだ漢方薬に変更しました。

この判断は以前から下肢に強いむくみがあり、慢性的に両脚にだるさを訴えていたことも後押ししました。

新しい漢方薬に変更して8ヵ月が経過した頃には生理周期もほぼ28日周期に固定され、むくみと一緒に生理痛も無くなっていました。

その後の定期検診でもチョコレート嚢胞は縮小して自然に消滅が期待できるレベルにまで落ち着いていたとのこと。

この方はその後も予防的に漢方薬を体調に合わせて微調節しながら継続服用して頂いています。

卵巣嚢腫のご相談は池袋の一二三堂薬局へ

卵巣嚢腫はつらい生理痛や不正出血など日常生活に支障をきたしやすい症状が多いという特徴があります。

それ以外にも卵巣機能を低下させるチョコレート嚢胞などは不妊症の主要な原因にもなりますので、放置は将来を考える上で危険です。

当薬局では卵巣嚢腫の症状が漢方薬の服用によって好転する方がとても多くいらっしゃることから、卵巣嚢腫と漢方薬とは相性が良いと実感しています。

卵巣嚢腫を患われている方はぜひ、池袋の一二三堂薬局へご相談ください。【執筆・監修:吉田 健吾(薬剤師・一二三堂薬局代表)】

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